市民の命を守るためにどのような防災政策が有効なのか。それは市町村全てが持つ課題である。そして阪神大震災、東日本大震災、西日本豪雨、熊本地震など予期せぬ災害のたびに、防災政策は進化している。
そして今の主流は、自助・共助・公助の三助の強化とそれらを結ぶ有機的ネットワークを構築して、災害発生時の死傷者と発災後の震災関連死の被害の最小限化を図る。というものである。それをイメージ化したのが左図である。左図は摂津市に当てはめ、私が作成したものである。
ちなみに私が三助の強化が必要と考えたのは、自身の自衛隊時代の東日本大震災の災害派遣の経験からである。ここではあまりの被害の大きさに公助の限界を感じざるをえなかった。また復興にあたっては、基本的に自衛隊はカネをおとさない。速やかに民間業者に移行し、地域がカネを循環できるようにしなければ、ヒト・モノ・カネは被災地から去っていくのである。ヒトがいなければ復興はできない。勿論、大災害に対しては個人の力は脆弱であり、地域の人々の連携、地域力が求められる。地域がヒトを繋ぎとめるのである。
これらを考えれば、平時から自助・共助の強化を図ることが、重要なのである。そしてそれは公が積極的に関与していかなければならない。なぜなら完全なボランティアに頼ることは一過性のもので、継続性に欠けるからである。
公が自助・共助の強化と、それを維持するシステム構築を行うことが必要なのである。例えば、宮城県仙台市ではSBLという仙台地域防災リーダー制度による共助でのリーダーを作り、共助・自助の強化に努めている。岩手県宮古市では、自治体の防災担当者に防災士資格取得を支援し、共助の中核となる人材を育成している。
これらを踏まえ、私が議員となって一番最初の議会、平成29年10月議会で提案したのが、摂津市での地域防災リーダー制度の採用である。(参照:地域防災政策について)共助の強化である。これについては令和元年4月より防災サポーター制度として採用された。摂津市では、さらに防災士資格取得補助も行っている。これはいいとこ取りに見えるが、成果は検証しなければならない。問題点はH31年度予算委員会で指摘している。
また、私は摂津市の公助の強化、即ち、行政の危機管理のリーダーとなる危機管理監と専門部署の危機管理室の設置を平成29年12月議会より、市に求めている。現在の総務部長と防災管財課が、有事における災害対策本部を運営し、対応することが被害の局限化には不十分(参照:大阪北部地震の教訓を踏まえ庁内を統括できる危機管理専門職の必要性について)なのである。これについては大阪北部地震の検証も含め、議会の都度、問題提起している。三助の強化が必要なのである。
令和元年4月より、市の防災政策は大きな改革が行われている。
それが、「まちごと・丸ごと防災体制」(参照:まちごと・丸ごと防災体制の取り組みについて)の取り組みである。これは三助を強化し、それらを有機的ネットワークで結び、市全体の防災力を向上させ、災害から被害局限化を図るものである。
これは、これまでの市の防災政策から転換した大きな一歩である。
引き続き、公助の強化も求め、実効性ある地域防災の実現を目指すものである。
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