新しい中小企業支援策についてこれまで2回に渡りブログをUPしてきました。
そのまとめとして、9月20日(金)での令和元年第3回定例会一般質問を行いました。
下記がその議事録です。本市中小企業の課題がよく分かる内容かと思います。
令和元年第3回定例会一般質問 会議録(抜粋)
令和元年9月20日
4 中小企業の課題と次の時代に応じた中小企業支援策の必要性について
○松本議員
~略~
4番、中小企業の課題と次の時代に応じた中小企業支援策の必要性についてですが、まず現在の市が実施している主な中小企業支援策とその実績はどのようなものか、お聞かせ下さい。
~略~
○嶋野議長
市民生活部長
○松方市民生活部長
「中小企業の課題と次の時代に応じた中小企業支援策の必要性について」のご質問にお答えいたします。
本市の実施している主な中小企業支援策及び平成30年度の実績でございますが、中小企業金融対策事業は、市内中小企業者に事業資金融資を斡旋する事業でございます。実績は、37件で融資額は1億8796万4千円でございます。
次に、中小企業育成補助金は、市内中小企業が能力開発や商品研究、販路開拓などに取り組むために参加した指定の研修や展示会等に要した費用の一部を補助する制度でございます。実績は、12社で補助額は546,200円でございます。
中小企業経営改善支援コンサルタント派遣事業は、コンサルタントによる指導・助言を行うことにより、中小企業の経営改善及び振興を支援する事業でございます。派遣実績は、5社9回でございます。
~略~
○嶋野議長
松本議員。
○松本議員
~略~
次に、次の時代に応じた中小企業支援策の必要性についてですが、現状の支援策についての実績は理解しました。これを見ると現状の支援策が今の中小企業のニーズに果たして合致しているのでしょうか。
私は7月、滋賀の全国市町村国際文化研修所において日本中小企業学会副会長の話を聞きましたが、中小企業は今、海外競争の激化、ビジネスモデルの短期化、人口減少問題、事業承継問題など多くの課題に直面し、中小企業が生き残るためには絶え間ないイノベーション・第二創業が必要であるという内容でした。
しかし、多くの中小企業は第二創業成功へのビジネススキルに不足しているのが現状であり、実際、市内でもイノベーションができない、あるいは実現しても、その後のマーケティングが上手くいかず、売上が伸びないと悩んでいる経営者が多々おられることを私自身が目にしています。
今、この課題解決のため、中小企業経営者のビジネススキルをサポートする取り組み、即ち経営者の相談に幾度も応じ、顧客分析から売上までをプロデュースする伴走型のビジネスサポートが注目されています。
この中小企業への新しい伴走型ビジネスサポートについてどのように認識されているのかお聞かせ下さい。
○嶋野議長
市民生活部長
○松方市民生活部長
議員ご指摘のように、中小企業が生き残るためには絶え間ないイノベーション・第二創業が必要であると考えております。そのためのビジネススキルが個々の中小企業に不足している現状がございます。
その課題解決の新たな手段として、中小企業経営者の個々の現状に合わせて身近に寄り添い、イノベーション・第二創業を促せる相談手法が高い評価を受けており、伴走型ビジネスサポートが我々としましても重要であると認識しております。
○嶋野議長
松本議員。
○松本議員
市の認識については理解しました。このビジネスサポートは次の時代に応じた中小企業支援策ではないでしょうか。
そこで、本市の中小企業の現状と課題についてはどのようなものかお聞かせ下さい。
○嶋野議長
市民生活部長
○松方市民生活部長
本市の中小企業の現状と課題についてでございますが、国の事業承継税制も昨年度から10年間に限って大きく拡充されるなど中小企業の事業承継問題は全国的な課題でございます。本市でも昨年12月に実施した産業振興アクションプラン評価検証調査結果では、本市の企業経営者の年齢は70歳代以上が全体の4分の1であり、事業承継が課題となっております。
また、経営において必要な対応策として「人材・労働力の確保・育成」が5割を占めるなど、企業経営者の多くが人材・労働力の不足を感じておられます。少子高齢化による労働人口の減少が本市でも課題となっております。
このように中小企業経営者の現状は、後継者や人材を確保するため、時代に合ったビジネススキル・第二創業が求められている現状がございます。
○嶋野議長
松本議員。
○松本議員
本市の中小企業が多くの課題を抱えている現状を理解しました。
実際にハローワーク茨木の資料によると、今年半年の本市有効求人倍率の平均は2.17倍、他の茨木市は1.63倍、高槻市1.04倍です。これは本市企業が他市に比べ人材獲得が困難な状況であることを示し、持続的な経営への壁になっています。この改善には競争激化の時代でも、売上を上げ、給与や福利厚生など少しでも魅力を増やさなければなりません。
これまでは経済向上の中、良い製品を作れば売れる時代であり、補助金等の制度で十分でした。しかし今は競争の激化で、中小企業の経営者は顧客ニーズを分析して、良い製品・サービスを作り、その上でマーケティングも行わなければ売れない時代となりました。しかし、これを一人でできる経営者はごくわずかです。
中小企業にはそれを補うための高額なコンサルタントを雇う余裕はありません。そのため伴走型ビジネスサポートの公的支援が今、必要と認識され始めています。
実際に府は中小企業支援策として取り組み、またf-Bizモデルという全国25自治体、府内でも大東市や岸和田市が採用しているビジネスサポートセンターがあります。大東市のセンターではH29年度で846件の相談対応を行っています。その他でも独自の伴走型ビジネスサポートを行っています。
そこでこのビジネスサポートの中小企業支援策については、どのようにお考えかお聞かせ下さい。
○嶋野議長
市民生活部長
○松方市民生活部長
中小企業経営者のビジネススキルをサポートする新たな取り組みとしましては、国の機関である中小企業庁も相談体制の強化を狙い、平成26年から各都道府県に「よろず支援拠点」の設置を進め、大阪府も同年にマイドーム大阪に「よろず支援拠点」を設置し中小企業経営者の無料経営相談を実施しております。
また、事業承継支援の集中的な取り組みとして大阪府が大阪府事業承継ネットワークを昨年度から立ち上げ、事業承継診断や事業承継計画の策定が行われております。
f-Bizモデルといわれる新たなビジネスサポートが府内自治体で実施されている事は、認識しております。しかしながら従前から経営指導を行っている商工会との役割の違いをどのようにしていくのかとの課題もあり、新たなビジネスサポートの必要性については、引き続き、研究して参りたいと考えております。
○嶋野議長
松本議員。
○松本議員
是非、研究し、そして具体化すべきであります。
なぜ多くの市がこれを中小企業支援策として採用し始めているのでしょうか。それは中小企業が地域を支える要と認識しているからです。中小企業の売上の低迷は、雇用と納税の低迷、事業承継の困難、そして廃業となり地域の活力低下を招きます。
先月に視察したドッコイセBizというサポートセンターを設置した福知山市では市内中小企業の自主廃業が増加する中、一つでも元気になってもらいたいと、行政として必要な支援策であると仰っていました。
本市も中小企業の街でありますが、そもそも市は中小企業をどのように捉えているのかお聞かせ下さい。
○嶋野議長
市民生活部長
○松方市民生活部長
中小企業については、商工業の活性化、産業振興に資するための重要な存在であると考えております。
摂津市第4次総合計画及び産業振興アクションプランに基づきまして、中小企業支援については、様々な取り組みを行ってきているところでございます。今後も引き続き支援して参りたいと考えております。
○嶋野議長
松本議員。
○松本議員
中小企業が地域経済の活性化に重要な存在と理解しました。中小企業はヒト・モノ・カネを地域に集め、地域を潤すものです。とりわけ中小企業が多い鳥飼地域への影響は大きいものです。
これまでのやり取りの中で、大きな経営課題を本市中小企業は抱えている事を認識されたかと思いますが、市はこの課題解決に取り組むべきではないでしょうか。
改めて中小企業の街として本市はどうあるべきか、市長の思いをお聞かせ下さい。
○嶋野議長
市長
○森山市長
中小企業振興策等々についてのご質問かと思いますけどもが、いつも同じような話をしていますけども、摂津市は非常に狭い市域で、全国791市がありますけれども735,6番目ですね。非常に狭いですね。そんな中の3分の2近くが工業地帯、準工地帯で占められております。
何度も出ておりますけれども、4千に近い大・中・小の事業所がございます。1つの指数がありますけれども、法人市民税の人口割指数は、これはここで何度も言っているけれども、摂津市は一人当たり3万円なにがしだったと思いますけれども、これは全国791市の中では、ベスト10、10番目にランクされております。ということで、私がよく言いますのは、きっての産業都市と言ってはばからないというのはこの辺に由縁があるわけでございます。
ところで摂津市の人口は8万6千某ですけども、昼間は10万近くに膨れ上がりあります。平日は、市内には市民の皆さんが約5万、企業市民の皆さんが約5万近くと半々の割合でおられると思います。そういうことで、お昼に何かあったとするならば、企業市民の皆さんとの連携、これは不可欠であります。そういう意味では、常々、事業所との共生、これは大切な要素であろうかと思います。
そういうことから言いますと、産業振興策と言いますか、中小企業育成等々については、非常に大切な施策の一つである。これはご指摘の通りかと思います。摂津市は先進的な融資策とか色んな取り組みをして参りましたけれども、商業振興策、産業振興策、これはこの10万未満のこの基礎自治体の取り組み、これは非常に限りがあることも事実であります。ということでは、国とか府とかの支援等々を取り付けないかんわけであります。
ただ、この摂津市には、世界に通じると言ってもいい匠といいますか、技術、事業所、これがまだまだたくさんあると思います。そういう意味では、こういったものをしっかりと発信をしていく、そういうことにも、さらに目を向けてですね、そして商工会との連携は勿論ですけれども、いろんな関係団体との連携を密にしながら、名実ともに産業の都市摂津と言われるような施策について、またしっかりと目を向けていきたいと思っています。以上です。
○嶋野議長
松本議員。
○松本議員
ありがとうございます。市長の中小企業への思いというものは理解いたしました。
ただ、現状としましては、中小企業の課題解決に貢献する経営相談・ビジネスサポートを本市商工会が府の施策のもと実施しているものの件数は年間350件と、約4千事業所のニーズを賄えきれていません。約3千8百事業所、人口が本市と同等レベルの福知山市では、サポートセンターだけでも約1年半で1千3百件以上の相談対応をしていることからも明らかです。
ゆえに本市も時代のニーズに応え、伴走型ビジネスサポートを中小企業支援策に据えるべきではないでしょうか。そのタイミングは今です。廃業になれば元には戻せません。
逆に中小企業が1社でも多く元気になれば、雇用と納税が増え、鳥飼地域を含めた市全体の活性化につながることは言うまでもありません。これは未来への投資でもあります。
是非、真摯に検討されることを強く要望致します。
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