摂津市での教育課題において学力の問題が挙げられます。
この学力の問題では、H31年度の全国学力・学習状況調査の結果で、本市の小学6年生・中学3年生の平均正答率が全国平均より全て低いという状況です。なお、学力の低さの要因は、全国と比べて本市の児童・生徒の「学習意欲」の低さ、「家庭学習時間」の短さ、そして「読書活動」の短さが同調査から挙げられます。
では、この学力の差はいつ生じるのでしょうか?
驚くかと思いますが、小学1年生の時点で差が出ているのです。具体的には、令和元年度の学習到達度調査結果で、本市の小学1年生から小学6年生の平均正答率は、小学4年・5年生の算数を除き、全て全国参加者平均以下となっています。
この小学1年生から生じている学力差をどう受け止めるべきでしょうか。
そう、小学1年生ということはその前の、就学前教育(幼児教育)の時点で差が生じているという事と認識すべきでしょう。このことは摂津市議会においても問題視され、就学前教育の取り組みの強化について議論されているところです。
文科省の論文でも幼児期において脳の成長が最も大きく、8歳頃にはピークとなり、20歳くらいまで続くと云われ、幼児期での教育が重要とされています。この脳が成長している幼児期に適切な教育が行われているか否かが、結果として小学生の学力の差となり、それは中学生、高校生の学力にもつながっていきます。
よって、摂津市の学力課題の解決には就学前教育での取り組みが非常に重要といえます。実際のところ本市では、平成24年に就学前教育の手引きを作成し、各園に配布するなど、就学前教育の充実を図っています。具体的には、市内小学校と校区内の幼稚園・子ども園との研究会、児童の交流会などがあり、また各園でも独自の就学前教育の取り組みを行っています。ただ、その取り組みは、まだまだこれからである事は、さきほどの到達度調査の結果を見れば分かります。
そのため、市全体の就学前教育の取り組みをさらに向上させる必要があります。各園の取り組みを尊重しつつ、市としてより強く求めるべきところがあるのではないかと考えます。
私はその強く求めるべきものとして「読み聞かせ」と「親学習」の2点と考えます。
なぜ2点かというと、先ほど述べたように市内の多くの園で、就学前教育をしっかりと行っている現状があります。幾つかの園を訪問し、話をする中で、自分たちはより良い教育を行っているという自負を感じます。私自身も教育に関してお手伝いさせて頂いたことも多々ありますし、市の就学前教育の手引きも活用されている例もあります。各園で素晴らしい取り組みをされています。
それを踏まえ、もっと力を入れて頂きたいこと、これは絶対に必要なこと、今やっていることの補強、園の取り組みを阻害しないことなど諸々を考慮して、限定しました。
まず1点目の「読み聞かせ」については、園や家庭での幼児への「読み聞かせ」時間を増やし、習慣化を促すことです。これは、「読み聞かせ」や「読書」が脳の神経回路の強化につながることを踏まえ、幼児の脳の成長を一層促進する効率的な取組みと言えます。さらには、読み聞かせで本に慣れた子ども達が読書を習慣化することにつなげる意図も有しています。これは本市児童・生徒の読書活動が少ないという課題を、幼児期の取り組みから解決するものです。
なお、その読み聞かせに漢字での教育も取り込めば、さらに効果は上がるでしょう。この漢字での教育とは、かな文字よりも記憶しやすい視覚言語である漢字を活用して、幼児の言葉をより豊かにする教育方法です。詳細は次のブログに掲載します。
次に2点目の「親学習」については、園などでの保護者向けの子育て講座を定期的に開催したり、資料提供を今以上に行って、保護者の育児への関心、知識などを高めることです。それによって、読み聞かせの重要性や幼児の成長に適切な生活環境の提供などをしっかりと理解してもらい、また保護者自身の孤立解消や子育てのストレス発散なども図ることができます。
私が議会で取り上げている幼児への健康教育は、その教育を通じて親世代の健康意識も高めることにつながる親学習の一環と考えています。(大阪府の親学習資料について)
さらに、学力課題の要因である教育に関心を持つ余裕のない家庭が多い現状を、親学習によって改善することにもつながります。余裕がない中でも、子ども達の為にできることはあります。それを学ぶ一助になると考えます。
以上、「読み聞かせ」と「親学習」の重要性を述べさせて頂きました。
就学前教育は小学校での学力の差に大きく影響します。子ども達の将来の為にも、就学前教育はしっかりと行う必要があります。市内各園での取り組みを促進させること、そしてさきほど挙げた2点をしっかりと、各園共通で実施することが求められます。これらの実現の為に議会で、引き続き議論して参ります。
下写真は読み聞かせのメリットを記載したものです。詳細は次のブログに掲載しています。