Ⅰ 2021年12月の上部施設構想の現状
摂津市の鳥飼地域において河川防災ステーションの計画が着々と進んでいます。
現在は、国において水防活動や堤防破堤時の災害復旧を目的に、土砂等の緊急用資材の備蓄、資材の搬出入、ヘリポートなど必要な機能等について、検討が進められています。
その建設場所も詳細な区画まで、ほぼほぼ確定してきました。ただ、上部施設についての検討はまだまだこれからです。
河川防災ステーションは勿論のこと、この上部施設をしっかりと市民にとって有用なものにしなければなりません。その為の議論が求められていました。
Ⅱ 上部施設の有事での構想を求めることについて
上部施設は、現時点では、市が建設する方向です。そのため、市がその構想を立て、計画、建設へと進めていかなければなりません。
その構想はまだ立てられていません。そして鳥飼まちづくりグランドデザインでも、この河川防災ステーションの平時での賑わいつくりの拠点として期待されています。
そのため、その施設の性質上、有事での構想を早々に立てる必要があります。特に私は消防本部の鳥飼出張所の新施設として併設できないか、市と議論してまいりました。
実際のところ、必要面積を確保できないことから実現困難なため、水害時での救助拠点としてバックアップ機能を設けるべきと提言してきました。
市にとって有用な河川防災ステーションの上部施設とするため、まずは有事の構想を明確化すべきと考えています。そこで2021年第4回定例会で一般質問を行いました。その内容は以下のものです。
Ⅲ 議事録について
令和3年第4回定例会一般質問 ~本会議2日目 令和3年12月15日~
議事録(抜粋)
河川防災ステーション上部施設の構想について
○松本議員
河川防災ステーション上部施設の構想についてですが、まず上部施設の国との調整、建設費は市の予算となるのか等の現況についてお聞かせください。
(略※)
○南野議長
市長公室長
○大橋市長公室長
河川防災ステーション上部施設についてのご質問にお答えいたします。
淀川の河川防災ステーションにつきましては、現在、国において水防活動や堤防破堤時の災害復旧を目的に、土砂等の緊急用資材の備蓄、資材の搬出入、ヘリポートなど必要な機能等について、検討が進められているところでございます。
本市としましては、淀川の想定される最大規模の水害時おける避難者約6万人に対し、収容可能人数が約5千人分の避難場所しか確保できない状況にあることから、淀川の堤防と同等の高さとなる河川防災ステーションの上面に避難所機能を有する上部施設の建設は不可欠であると考えております。
水害時のみならず、どのような災害が起きても避難できる避難場所として上部施設の建設について、底地の取り扱いも含め、現在、国と協議・調整をしている段階にございます。
上部施設について、摂津市民のための避難所機能などを有する施設とするなら、それに関わる建設費用につきましては本市が負担するべきものと考えておりますが、交付金の活用等により、本市負担については出来る限り軽減できるよう努めて参りたいと考えております。
(略※)
○松本議員
次に河川防災ステーション上部施設について、国の水害時での活用、本市が建設すること、避難所機能を持たすことなどを検討していると理解しました。
市の施設であるならば、当然ながら地域防災計画などの位置づけも必要です。
そこで地域防災計画も含めた市の防災政策における施設の位置づけについて、どう期待しているのかお聞かせください。
○南野議長
総務部理事
○辰巳総務部理事
河川防災ステーションの上部施設の地域防災計画含めた市の防災政策における位置づけについて、どのような期待を持っているかについてのご質問にお答えいたします。
市の防災政策上最も重要な事は市民の命を守ることであります。水害や震災が発生した場合でも被害を最小限に留めるためには、市民の命を守るための避難場所や救助拠点の確保が必要です。
しかし、市長公室長の答弁でもありましたように、水害時におきましては圧倒的に避難可能な場所が不足しており、遠方への避難が困難な高齢者や障がい者等の避難行動要支援者の一時避難先の確保が喫緊の課題であります。
また、震災時においても、市全域に見れば避難所の収容可能面積は何とか足りておりますが、鳥飼地域だけで見た場合はかなり不足しております。
本市といたしましては、市民の大切な命を守るために地域防災計画において河川防災ステーションの上部施設を鳥飼地域の避難・救助活動の拠点として位置づけられるよう検討して参ります。
○南野議長
松本議員。
○松本議員
地域防災計画での位置づけを検討していくとのことですが、計画には水害と地震の対応が記載されており、上部施設も同様の扱いが必要です。
例えば、避難所として運営する場合、水害時、河川防災ステーションは、水防センター機能も含め、国交省やあるいは自衛隊などの市民の命を守る復旧拠点となるため、施設周辺は24時間の騒音があり、夏であれば滞った水面での虫の発生も懸念され、長期避難には不適切で、災害関連死を防ぐためにも一時避難に留め、より安心して過ごせる場所への移送が必要と考えます。
ただ地震時には状況が変わるため、長期避難は可能と考えます。適切に想定し検討されるよう要望致します。
また、淀川氾濫時の安威川以南での消防の救助拠点として上部施設の活用をこれまで議会で提言して参りました。実際、救助拠点が水面で孤立すれば機能発揮できず、鳥飼出張所での対応は困難であることから、上部施設に救助拠点としてのバックアップ機能を最低でも持たせることが必要と考ますが、消防の見解をお聞かせください。
○南野議長
消防長
○明原消防長
河川防災ステーション上部施設と救助拠点に関するご質問にお答えいたします。
淀川の氾濫による水害発生時は、市地域防災計画に基づき災害対策本部が設置され、消防本部は、本部長となる市長、また副本部長となる副市長の指示のもと各班と連携しながら災害応急対策を実施することになります。
全消防職員を参集し、情報収集を中心に消防広報活動や災害警戒活動を実施いたしますが、やはり最優先をいたしますのは、人命の救出・救助ございます。
本市所有の水難救助用ボートをフル活動して、浸水建物等からの救出・救助活動にあたるところでございますが、淀川が氾濫した場合は、ご指摘の通り、消防鳥飼出張所は水没して、鳥飼地区の消防・救助の拠点としての機能が喪失してしまうことになります。
河川防災ステーションにつきましては、まだまだ協議を要する部分が多いようですが、消防本部といたしましては、上部施設を活用した、救助活動スペースの確保や、救助資機材の備蓄など、浸水時に鳥飼出張所のバックアップ機能としても活用できるよう、今後も関係各課と協議を進めて参りたいと考えております。
○南野議長
松本議員。
○松本議員
是非、協議を進めるよう強く要望致します。
今後の国との調整、そして鳥飼まちづくりでのにぎわいの拠点として平時の利活用、FMとの連携を考えるためには、上部施設の性質上、有事での構想を先に固めておく必要があります。
最後に、市財産として最大限に市民に有用な施設とするためにどうしていくのか、総括的に福渡副市長のお考えをお聞かせください。
○南野議長
副市長
○福渡副市長
市民にとって最大限有用な施設とするための方策についてのご質問でございます。
議員ご案内のように、鳥飼地域につきましては水害リスクが非常に高い地域でございまして、鳥飼地域の皆様が安全で安心して暮らしていくためには、洪水が来ない場所を作る高台まちづくりという施策が大変重要であると認識しております。
河川防災ステーションは、この高台まちづくりの中核に位置付け、その上部施設は、いざという時の避難場所として、あるいは救助・救出の拠点として、しっかり機能するようしなければならないと考えています。
上部施設の規模や具体的な機能につきましては、今後十分検討していく必要がありますが、災害は非常に稀にしか発生しないため、平時利用についても十分検討することも必要があります。
特に、高齢者や避難行動要支援者の方々は、日常的に使用している場所以外に避難する場合に非常にストレスを感じることがあり、平時利用は特に慎重に検討を進める必要があると考えています。
また、まちづくり、地域の活性化の観点からも、河川防災ステーションの活用については検討して参ります。
今後検討していかなければならない事は多々ありますが、利用される方は地域の住民でございますので、地域の住民と十分に対話しながら、地域のニーズ、今後の方向性も含め、市の財産として、最大限有用なものとなるように検討を進めて参りたいと考えております。
○南野議長
松本議員。
○松本議員
ありがとうございます。
是非、上部施設は各種計画、市民ニーズも踏まえて、しっかりと構想を固め、それを実現できるよう国とも調整し、市財産として最大限有用となるよう要望致します。
(以上)
(音声データ等より作成)
※当該質問に関係のない他の質問項目の部分は省略しています。
この一般質問にて、市から上部施設について、有事においては避難所として活用できるよう、そして提言し続けてきた消防の救助拠点としても検討・協議を進めるという答弁をようやく引き出しました。
構想をしっかりと固めることで、国との調整も主導的に行うことができ、よりよい計画につながります。
Ⅳ 市民にとって有用となる施設とするために
この質問の意義は、市にしっかりと有事に対応できる施設となるよう早々に構想を固めよ、というものです。これまで鳥飼まちづくりグランドデザインの中で、上部施設が議論されてきましたが、先に施設のレイアウト図(案)が出てきたり、消防との協議を進めていない、ちぐはぐなものでした。有事に活用できない施設はありえません。
そのため議会から、しっかりと市に本来あるべき姿から考えてもらうべく提言をしたものです。
東日本大震災の災害派遣を経験した元自衛官として、市民の命を守る取り組みをしっかりと進めてまいります。
Ⅴ 関連ブログ等
(追記 2022年5月2日)