Ⅰ 最初に
摂津市におけるPFOA問題について、様々な情報が飛び交っている現状があります。
そのため市民への情報提供が必要であると認識し、摂津市でのPFOA問題の状況(2022年2月時点)をまとめました。
まとめるにあたり市・府・国資料、議会での市見解など基本的には公開情報(一部除く)を集めました。
ただし、私自身も完全に理解できていると言えず、不十分な点が多々あろうと考えます。ご了承のうえ、参考下さい。
Ⅱ PFOAについて
1.概要【大阪府資料引用】
①名称等
PFOAは、ペルフルオロオクタン酸(Per Fluoro Octanoic Acid)の略称、PFOSは、ペルフルオロオクタンスルホン酸(Per Fluoro Octane Sulfonic acid)の略称で、いずれもフッ素を含む有機化合物の一種です。
②用途
PFOA及びPFOSは、撥水性と撥油性を併せ持つ特異な性質を有していることから、これまで様々な表面処理の用途に使用されてきました。
●主な用途
・PFOA…泡消火薬剤、繊維、電子基板、自動車、食品包装紙、石材、フローリング、皮革、防護服等
・PFOS…泡消火薬剤、半導体、金属メッキ、フォトマスク(半導体、液晶ディスプレイ)、写真フィルム等
③特徴・人の健康への影響は?
PFOA及びPFOSは、化学的に極めて安定性が高く、水溶性かつ不揮発性の物質であるため、環境中に放出された場合には河川等に移行しやすく、また難分解性のため、長期的に環境に残留すると考えられています。
これらの人の健康への影響については、各国・各機関である程度の知見が集積されつつあるものの、現時点において、発がん性等の毒性について国際的に統一された評価値はありません。
④国内外での規制状況は?
PFOAは、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs(ポップス)条約)で、製造・使用、輸出入を原則禁止する物質に挙げられています。国内では、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に基づき、原則として製造・輸入・使用が禁止されています。
PFOSは、POPs条約で、製造・使用、輸出入を制限する物質に挙げられています。また、PFOAと同様、化審法に基づき、原則として製造・輸入・使用が禁止されています。
⑤河川や飲み水での基準は?
PFOA及びPFOSは、2020年5月に、水質汚濁に係る要監視項目に指定され、河川や飲み水などにおける暫定的な目標値(指針値)として、PFOS及びPFOAの合計値で50ng/L以下とされました。
なお現在、土壌や食物(米・野菜等)に関する指針値等はありません。
●要監視項目とは?
「人の健康の保護に関連する物質ではあるが、直ちに環境基準※とはせず引き続き知見の集積に努めるべき」とされている項目です。いわば、要監視項目は環境基準(健康項目)の予備軍のようなものです。
※環境基準:人の健康を保護し及び生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準。
このうち、健康項目は、「人の健康に影響を及ぼすおそれがある物質」として基準値が定められている。
●指針値の考え方は?
「体重50kgの人が、一生涯にわたり1日2Lの水を飲用しても健康に対して有害な影響がないと考えられる濃度」として設定されています。
●1ng/Lとは?
1ngは、1gの10億分の1の重さです。1ng/Lは、京セラドーム大阪1つ分の容積の水(120万m3)に1.2gの物質が含まれているときの濃度です。
引用:【大阪府環境農林水産部環境管理室事業所指導課 令和3年10月作成】
リンク先(20211029更新)■PFOA・PFOS周知資料 (osaka.lg.jp)
2.発がん性分類について
国際がん研究機関のIARC発がん性分類を確認しました。
国際がん研究機関のIARC発がん性分類において、PFOAはグループ2B・ヒトに対して発がん性がある可能性がある部類に区分されています。
⇒ 2024.7現在では、PFOAはグループ1に該当します。PFOSはグループ2Bに該当します。
3.PFOAとその塩及びPFOA関連物質の有害性の概要【環境省資料引用】
環境省資料から有害性情報について確認しました。
環境省資料を抜粋しました。その有毒性について記載されています。その一部は下記の通りです。
1.一般毒性
① PFOAに対するばく露作業者や高濃度ばく露住民等について、PFOAのばく露とコレステロール値や他の脂質パラメータの上昇に正の相関が認められた。p.1
② ラットの亜慢性毒性試験において見られた肝重量の増加及び肝細胞肥大に基づき、NOAELは0.056mg(5万6千ng)/kg/dayである。p.1
2.発がん性
① ヒトへの影響、PFOAのばく露と精巣ガンや腎臓がんのリスク増加の関連性を示唆する証拠がある。p.1
② ラットにPFOAを2年間混餌投与(300 ppm=300mg(3億ng)/L)したところ、雄のSDラットにおいて、肝臓腺腫、ライディッヒ細胞の過形成/腺腫、膵腺房細胞腺腫(PACT)の発生率が増加した。p.1
3.生殖発生毒性
① 血液PFOA濃度と女性の生殖能に関連する影響が疫学研究が報告されているが、その証拠は不十分である。p.2
② ラット二世代試験について、F1世代における成熟遅延のNOAELは10mg(1千万ng)/kg/dayである。p.2
4.体内動態
人の血液からの排出半減期は長く、2~4年である。 p.3
(半減期:生体内に入った薬などの物質が、代謝や排泄などによって半分に減るまでに要する時間を示す。)
4.PFOAの摂取について
私たちの日常生活におけるPFOA等摂取の状況について確認しました。
食品安全委員会ファクトシート【パーフルオロ化合物】に記載されている一文です。
「国内ではPFOS及びPFOAについてのばく露量の調査が行われています。ヒトの食事を介したトータルダイエットスタディは、農林水産省が2012-2014年に実施したマーケットバスケット方式では、日本における推定一日摂取量は、PFOSが 0.60-1.1ng/kg 体重/日、PFOA が 0.072-0.75ng/kg 体重/日と算出されています。
環境省が2011年に実施した陰善方式による食事調査では、平均値はPFOSが0.57ng/kg体重/日、PFOAが0.69ng/kg体重/日でした。」p.3
また、上図は「食品の汚染実態」を示したものです。PFOA等が魚介類、藻類、肉類から検出されています。p.11
厚生労働省でも水質検査の結果から全国各地でPFOA等が検出されています。p.10
Ⅱ これまでの経過
1.環境省通知
【水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の施行等について(通知)】の抜粋
①令和2年5月28日、水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについては、要監視項目についての所要の改正を行うこととした。
②現時点では直ちに水質環境基準健康項目とせず、引き続き知見の集積に努める必要があると考えられるものとして、「ペルフルオロオクタンスルホン酸(以 下「PFOS」という。)及びペルフルオロオクタン酸(以下「PFOA」という。)」を新たに要監視項目に追加することとした。
③PFOS 及び PFOA の目標値については、我が国、諸外国及び国際機関において検討され、集約された科学的知見及び関連する各種基準の設定状況等をもとに、まず飲料水経由の影響についても考慮して設定することとした。
④この目標値については、現時点では、毒性学的に明確な基準値及び指針値 の設定は困難であるものの、各国・各機関が行った評価の中で妥当と考えられるものを参考に、暫定的な目標値として、「指針値(暫定)」とすることとした。
⑤「PFOS 及び PFOA」 を追加し、指針値(暫定)として「0.00005 mg/L 以下」(0.00005mg/L=50ng/L)とした。
⑥運用上の取扱い 「PFOS 及び PFOA」については、今後、国等において物質の特性、使用状況等を考慮し、体系的かつ効果的に公共用水域等の水質測定を行うとともに、測定結果を国において定期的に集約し、その後の知見の集積状況を勘案しつつ、必要に応じて 水質環境基準健康項目への移行等を検討することとしている。
2.摂津市の状況(全般)について
摂津市におけるPFOAの状況について説明します。
①環境省調査
環境省の令和元年度全国調査において、摂津市内の地下水からPOFS 43.6ng/L、POFA 1812.0ng/Lが検出されました。
この事は、他地点と比較して著しく濃度が高いことを示しています。
②大阪府調査(令和2年6月)
大阪府は上記の環境省調査を踏まえ、令和2年度から定期的な水質調査を行うこととし、6月調査結果について下記図・表が公開されました。
上記から、大阪府は定期調査を行うとしたと記載していますが、2007年・平成19年から検査を定期的にしていることが分かります。
その他では、水道原水は影響が無いこと、地下水のPFOA濃度の推移が低下していることなどが分かります。
③大阪府調査(令和3年8月)
大阪府は、令和2年12月より水路と地下水の場所を増やして水質調査を行っています。R3年8月の結果が公表されています。内容は下記表・図の通りです。
引用:大阪府【有機ふっ素化合物(PFOA 等)に係る水質調査結果(令和3年8月)について】
検索元:大阪府【有機フッ素化合物(PFOA等)に係る水質調査結果について】
検索元:大阪府【PFOA等調査結果(大阪府実施)】
上記表・図から、5水路、4地下水ともに暫定的目標値(50ng/L)を大きく上回っています。いずれもダイキン工業周辺となっています。
3.地下水(井戸水)利用について
ダイキン工業(株)周辺地域での地下水からのPFOA検出について、当該地域住民から不安の声が上がっています。地下水(井戸水)を利用した農地での農作物の汚染を懸念しています。また水道水を利用している場合においても土壌汚染を懸念されています。(聞き取り等)
4.摂津市の水道水について
摂津市の水道水のPFOA濃度について確認しました。
混合原水(井戸水・太中浄水場)は令和2年10月の調査で、11ng/Lで暫定的目標値を下回っています。令和3年12月調査でも同様の【結果】でした。
また鳥飼・中央・千里丘水系は大阪広域水道企業団から受水しており、その詳細は次に記載します。
引用:摂津市【水道原水及び浄水水質検査結果書】(PFOA等については年に2回基準で検査)
引用:摂津市上下水道部HP【水道水質検査結果】
大阪広域水道企業団での摂津市に関わる水質検査結果は下記表の通りです。
引用:大阪広域水道企業団【受水市町村分岐等における水質検査結果】
令和2年5月の調査では14ng/Lで暫定的目標値を下回っています。
資料から、摂津市の水道水は使用する混合原水(11ng/L)・企業団受水(14ng/L)ともに暫定基準50ng/Lを下回り、問題ありません。
なお摂津市における水道の整備については、1956年に正雀地区等で給水を開始し、1957年には別府・一津屋地区、その後順次、給水拡張が行われました。
引用:摂津市上下水道部 令和元年7月【摂津市上下水道ビジョン】
5.企業の対応について
ダイキン工業がPFOA関連について製造していました。
当該企業は、2006年(平成18年)に持続性のある化学物質管理の一環として、世界の主要フッ素化学メーカー7社(計8社)とともに、2015年までにPFOA及び関連物質を全廃することをめざす「PFOA自主削減プログラム(PFOA2010/2015スチュワードシップ・プログラム」に参画しました。
PFOA(パーフルオロオクタン酸)やその類縁化合物の製造・使用、およびそれらを原料とした製品の製造を2015年12月末(平成27年)で完全に終了しました。
引用:ダイキン工業HP【PFOAに関する当社の取り組み】
また、下記図については大阪府資料からダイキン工業の取り組みを抜粋しました。
上記図が示すこととして、当該製作所の土壌がPFOAに汚染されており、それが地下水によって周辺地区へPFOAが拡散されているものと考えられます。
当該製作所において、その地下水を揚水し、PFOA除去処理を行い下水道へ放流しています。
上記文章より、当該企業は、揚水の強化や矢板による囲い込みなどの恒久的な対策について検討しているとのことです。
Ⅲ 摂津市における健康への影響
1.低出生体重児に関して
PFOAについて、低出生体重児の要因となりうるのではと一部で云われています。そのため、摂津市の低出生体重児の統計等について確認しました。
◎下記表等は大阪府母子保健事業のデータを引用したものです。
上記表では、1999年~2019年の20年間のデータです。摂津市での20年間での低出生体重児の出生割合は9.9%です。府内で顕著な順位は占めていません。
さらに他市と比較しました。摂津市と人口が比較的近い大阪府内の市を抜粋しています。(R2国勢調査:摂津市8万7千人、貝塚市8万4千人、泉佐野市10万人、交野市7万5千人)
①各市ともに割合については年ごとに波がある。
②貝塚市は摂津市よりも20年間での平均割合が大きい。
③貝塚市・交野市・泉佐野市はPFOA汚染等は確認されていない。
④摂津市が他市と比較して著しく低出生体重児割合が大きいとは言えない。
◎低出生体重児の背景要因
低出生体重児が生まれる原因はさまざまです。
①母体側に妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離等のような母体の感染などがある場合。
②子ども側の原因として、双胎や多胎妊娠では子宮が大きくなるので早産になる場合。
③羊水過多症、羊水過少症、胎児発育不全、子どもの疾病などで、早く出産し治療したほうが良い場合。
④妊娠中の生活習慣が胎児の発育に影響を及ぼして いることも示唆されている。特に、妊娠と喫煙。
引用:厚生労働省 低出生体重児 保健指導マニュアル【113193-format.indd (mhlw.go.jp)】
◎摂津市への聞き取り(2022年2月4日)
市担当部署に、PFOAによる低出生体重児への影響をどう認識しているか確認しました。
市見解は、国によるPFOAの身体への影響の基準が示されていないことから、市民の身体への影響については市は把握していない。そのうえで、現時点では他市と比較して低出生体重児の統計的な特異点は見られないとのことです。
2.ガンに関して
PFOAは発がん性の可能性が指摘されています。
そのため摂津市におけるがんの統計等を確認しました。
◎大阪国際がんセンター資料
当該資料について、
①府内において、1975年から2004年の推移で、全体的に下位レベルと評価されるも、特別な指摘は受けていない。
②他市(貝塚市、交野市、泉佐野市)も掲載しているが、摂津市と著しく異なることは見受けられない。
検索元:大阪国際がんセンター【第1回テーマ:がん統計ランキング】
:第1回テーマ:がん統計ランキング【摂津市】 等
◎摂津市への聞き取り(2022年2月4日)
市担当部署に、PFOAによるがん患者への影響を認識しているか確認しました。
市見解は、国によるPFOAの身体への影響の基準が示されていないことから、市民の身体への影響については市は把握していない。そのうえで、現時点では他市と比較してがん患者の統計的な特異点は見られないとのことです。
Ⅳ 議会等の状況
摂津市議会においてPFOAの件について議論されています。
議会における市の見解は以下の通りです。(概要)
1.平成19年・2007年に共産党議員が初めて議会で取り上げた際の市答弁。
①動物実験で発がん性が指摘されているPFOAが、京大研究室の2003年において調査された結果が2007年5月に報道され、安威川流域下水処理場付近の河川水で極めて高いレベルの汚染を確認している。
②報道後、大阪府水道部は、PFOAは水道水質基準が設定されておらず、直ちに人の健康に影響を及ぼすレベルではないと発表した。
③アメリカ環境保護局で、2003年4月16日付の官報が出されておりますが、血中濃度が3万ナノグラム・パー・ミリリットル以上の人のホルモンレベルを調査した結果、顕著な影響は認められなかったとも報告されている。
④環境問題という点から考えると、一定自主的な努力ということで削減をしていただきたいと考えている。
⑤本市の自己水でのPFOA濃度の検査結果は、PFOAで4.6ナノグラム・パー・リットル、またPFOSは検出していない。
平成19年 12月 定例会(第4回) 12月25日-03号【リンク】
(以下はR2~R3年議会での答弁)
2.健康等への影響及び現時点での対策などについて
①発がん性の疑いや低体重児への影響など身体への影響については、現在(2020年10月)、国から明確な通知はなく、今後、国において知見等を深める状況と理解している。
②本市は、目標値を上回っている飲用井戸所有者について、水道水の利用を促す助言等を行い、継続監視する。
③国、大阪府の動きを注視しながら、国、大阪府から得られました内容の情報発信に努める。
④科学的知見の積み重ねのないうちに話題が先行すると、風評被害の影響が大きくなることを懸念している。
令和2年10月 定例会(第3回) 11月04日-03号 【リンク】
⑤人に対して発がん性がある可能性があると分類され、発がん性に関する報告も一部であるが、治験が十分とはいえず、国際的な評価とはなっていないというような答申内容になっている。
⑥現在、暫定的な目標値というのは水環境のみが我々に示されている。作物など体内における濃度等々について暫定であっても目標値というのが定められていない。
令和2年11月 民生常任委員会 11月13日-01号【リンク】
⑦大阪府は、2020年12月に地下水3か所及び水路5か所の観測地の追加を決定し、地下水4か所、水路5か所の水質調査を実施した。その結果は、2021年1月に大阪府のホームページに公表した。
令和3年3月 定例会(第1回) 03月08日-02号【リンク】
⑧PFOAの暫定的な目標値は水環境以外の土壌、農産物等については示されていない。
令和3年6月 定例会(第2回) 06月25日-03号【リンク】
⑨大阪府は、水質調査箇所を2020年6月の南別府町1地点の地下水から、2020年12月と2021年8月は、地下水を3地点追加し計4地点、水路を5地点追加した。大阪府の主体的な取り組みだが市の意向を加味していただいた。
⑩今後も大阪府との情報共有・交換に努め、地域の声を大阪府に届け、必要に応じてPOFA対策会議の場でも発信していく予定。
令和3年10月 定例会(第3回) 10月29日-05号【リンク】
3.ダイキン工業の取り組みについて
①新たな自主的な取り組みで、より効率的な揚水及び浄化を行うため、専門家の指導の下、地下水流向の再調査の実施及び大学と連携して土壌中のPFOA分析方法の開発に着手するということを表明している。
令和3年3月 定例会(第1回) 03月08日-02号【リンク】
②大阪府の報告等々で、2009年・平成21年から浄化処理をしている、その頃から地下水をくみ上げているような状況である。
令和3年3月 民生常任委員会 03月11日-01号【リンク】
4.行政等の対策会議について
①大阪府・摂津市・ダイキン工業の各主体3者の取り組み、情報交換、情報共有と、それから、環境水及び排水中の濃度調査を効率的に進めていくことを目的に大阪府が主宰する会議。
②市担当課の役割は、大阪府の調査の支援、府活動時の地元との調整及び庁内の調整となっている。
(2009年から開催される神崎川水域PFOA対策連絡会議について)
令和2年10月 定例会(第3回) 11月04日-03号 【リンク】
5.国への要望について
2021年度、大阪府は国に対して、PFOAについて、高濃度の地下水が生じている地域における農作物の摂取と人の健康への影響について明らかにし、その結果を踏まえ、土壌、水質及び農作物等に関する汚染状況の評価や、その対応に関する指針等を示されることを要望した。
令和3年10月 定例会(第3回) 10月29日-05号【リンク】
(その他)
6.国会での政府見解について(概要)
①地元(摂津市)で不安をお持ちの方、その懸念については真摯に受け止める。
②国際的にも今、土壌中のPFOAの分析方法の確立がされていない。
③環境省としては、毒性評価に関する国際的な知見の収集や分析方法に関する調査研究を取り組んでまいりたい。
④今、住人に健康被害が生じているという情報は聞いていない。地元自治体と密接に連携して情報収集に努める。
⑤大事なのは、PFOAについて新たに摂取する量を減らしていくこと。化審法による製造、輸入禁止措置、河川や地下水の水質の暫定目標値を活用した、飲むことによる暴露の防止。
⑥土壌汚染に関して、R3年度から環境研究総合推進費を用い、土壌中にどういうふうに挙動するのかと、そういう挙動予測、あるいはどうやってそれを効率的に除去できるのかという除去技術の開発ということもテーマとした研究をしている。
⑦命、そして国民の健康、守らなければならないと考えている。
⑧環境省としても、ダイキン工業における対策について、大阪、そして関係の自治体とも連携をして注視をしていきたい。
⑨土壌の分析の方法の確立や、健康とPFOA・PFOS、そういったものの因果関係も研究を深めなければならない。
第204回国会 参議院 環境委員会 第15号 令和3年6月8日【リンク】
Ⅴ まとめ
1.PFOAについて
① PFOA・PFOSは健康の保護に関連する物質である。
② PFOA等は日常生活で極微量だが摂取していると推定されている。
③ PFOA等の排出半減期は2~4年とされる。
④ 国は、水の暫定的目標値(50ng/L)を設定している。
⑤ 国では、土壌や食物(米・野菜等)に関する指針値等はない。
⑥ 国では、土壌中の分析方法は確立していない。
⑦ 国では、PFOA摂取等と健康への影響が明確化されていない。
2.摂津市において
① ダイキン工業は2015年に製造を完全終了し、継続してPFOA除去等を進めている。
② 市内一部地域での地下水に高濃度のPFOAが確認されている。
③ その地下水を農業用水として使用されている方など、不安を抱えている。
④ その地下水のPFOA濃度は年々低下している。
⑤ 摂津市の水道水は問題ない。
⑥ 統計等からは、他市と比較してがん患者や低出生体重児割合の特異点は見られない。
⑦ 土壌中の汚染度や農作物の摂取と人への健康の影響は明らかにされていないため、地域住民の不安がある。
3.国・府において
① 大阪府は定期的に検査を行っている。
② 国は土壌の分析の方法の確立や、健康との因果関係も研究していくとしている。
③ 大阪府は国に対し、その影響を明らかにし対応に関する指針を示すよう要望している。
追記(2023.8.3)
令和5年1月に環境省が設置した「PFASに対す る総合戦略検討専門家会議」の監修の下、「PFOS、PFOAに関するQ& A集」が添付のとおり作成され、環境省のホームページに掲載されています。
環境省HP「PFOS、PFOAに関するQ&A集」及び「PFASに関する今後の対応の方向性」等について
追記(2024.4.1)
PFOS、PFOA及びPFASに係る食品の摂取による人の健康への影響に関する検討が為されています。評価書も提示されています。
※今後の最新情報については、ブログ「風評被害、風評加害を防げ!!摂津市のPFOA問題」(2022/7/9)を参照下さい。
Ⅵ 関連リンク
【記事等】
1.NHKクローズアップ現代 2019年5月15日(水)【化学物質“水汚染” リスクとどう向き合うか】
2.「永遠の化学物質」汚染の拡大を止めよ/小泉昭夫氏(京都大学名誉教授・社会健康医学福祉研究所所長)
3.京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻健康要因学講座 准教授 原田浩二の研究ページ【つれづれなるままにPFOS総説】
4.サステナブル・ブランド ジャパン【企業は誰のために存在するのか 映画『ダーク・ウォーターズ』主人公の弁護士にインタビュー】
5.Tansa【公害「PFOA」】
【関連部署等】
6.摂津市環境政策課「有機フッ素化合物(PFOA、PFOSなど)について」
7.大阪府 化学物質対策「有機フッ素化合物(PFOA等)」
8.環境省HP「PFOS、PFOAに関するQ&A集」及び「PFASに関する今後の対応の方向性」
9.内閣府食品安全委員会「内閣府食品安全委員会:PFASワーキンググループ」
10.ダイキン工業「PFOAに関する当社の取り組み」
追記(2022年3月21日)
追記(2022年3月30日)
追記(2022年4月3日)
(追記 2022年7月9日)