Ⅰ 概 要
令和4年第1回定例会の代表質問にて、「防災・災害対応力の向上について」という質問を行いました。
これまでの市の安全安心のまちづくりの取組み、そして地域防災計画の改訂といった今年度の取組みについての全般的な質疑応答となります。
また、2020年の危機管理体制の改革(危機管理専門の部長級職員が設置され、危機管理専門の部署が立ち上げられた。)から2年が経ち、その成果についても確認しました。
Ⅱ 各種政策について
令和4年における摂津市の防災行政に関する主要政策は以下の通りです。
① 防災サポーターの運用へ向けての取組み
② 水害時の広域避難に向けた取り組み(広域避難場所の確定等)
③ 水害時の避難行動要支援者の個別避難計画策定
④ 地域防災計画の改訂
⑤ 水害に備えた行政タイムラインの策定
⑥ 小中学校体育館へのエアコン設置・Wi-Fiの設置(避難所の環境改善)
⑦ ライン・SNSの普及(災害時の情報ネットワークの確保)
⑧ 災害対策本部訓練の実施
⑨ BCP(業務継続計画)の策定
⑩ 受援計画の策定
⑪ 防災訓練の実施
⑫ 自主防災訓練の支援
⑬ 河川防災ステーション計画推進 等々
多くの施策がありますが、どれも欠けてはならない重要な施策となります。
また、危機管理体制の改革では、庁内体制の防災行政の核として、しっかりとリーダーシップを発揮しているとのことです。
具体的には、担当部署の機能強化によって、庁内体制を整え、災害対策本部訓練の実施、庁内の各施策への防災に関連する助言(小中学校体育館へのエアコン設置等)、地域防災計画改訂への着実な進捗、他市との連携強化などです。
Ⅲ 議事録
令和4年第1回定例会の代表質問にて、「防災・災害対応力の向上について」という質問を行いました。
令和4年第1回定例会代表質問 ~本会議2日目 2022年3月7日~
議事録(抜粋)
(自民党・市民の会の松本議員が会派を代表して質問。内容は会派で検討したものである。)
2-3 防災・災害対応力の向上について
○松本議員
2-3防災・災害対応力の向上について、地震、洪水など大災害への備えは、まちづくりの根幹であり、ソフト・ハード両面での対策を平時から取り組んでいかなければなりません。
そのため会派として、自助・共助・公助の強化、そして三助の連携強化を提言し続けて参りました。今年度の取組み・方向性についてそれらの視点からお聞かせ下さい。
(略※)
○森山一正市長
「防災災害対応力の向上について」ですが、私はこれまで「まちづくりの基本は安全安心」を信条として、行政を進めて参りました。
しかしその一方で、近年の自然災害は激甚化しており、我々行政の力だけで市民の皆様の生命と財産を守り抜く事は到底困難な状況でございます。
このため、市民の皆様には平時から災害に備え、自分の命は自分で守る自助、そして、ご近所が助け合って地域の安全を守る共助について、その大切さを事あるごとに訴え続けて参りました。
その呼びかけに応じていただき、令和元年度からスタートしました防災サポーターに、地域の防災リーダーとして約100名の皆様にご登録いただくことができました。
令和4年度は、水害時の広域避難を一層実効性のあるものへと高めるとともに、避難行動要支援者の個別避難計画策定や、地域防災計画の改訂などに取り組んで参ります。
これからも私は公助の先頭に立ち、この郷土摂津を愛する皆様と力を合わせて、自助・共助の連携を深めるとともに、安全安心のまちづくりに邁進してまいる所存ですございます。
(略※)
○松本議員
2-3防災・災害対応力の向上について、市長の思い、そして三助並びにその連携強化を図っていくものと理解しました。
さて、水害対策についてですが、会派として広域避難など少しでも早く整備すべきと提言しておりますが、令和4年度の取組みについて具体的にお聞かせください。
(略※)
○総務部理事
水害対策に関する令和4年度の取り組みの質問にお答えいたします。
本市は市域のほとんどが浸水し、その継続時間も長期に及ぶと想定されるため、市民の皆様には、浸水しない安全な場所へ避難していただくことが何よりも重要であります。そこで令和2年6月に摂津市オリジナルセパレート避難メソッドを発表し、コロナ禍での感染症対策も視野に入れた分散避難を呼びかけてきたところでございます。
現在は、河川管理者である国土交通省と大阪府や、近隣自治体とともに、本市をモデルとした万博記念公園への広域避難について検討を始めており、課題整理や役割分担について検討しているところでございます。
このような状況も踏まえ、本市の令和4年度の取組みといたしましては、市民の皆様に広域避難について検討していただくため、具体的な広域避難先を想定した上で、各地域からの避難のタイミングなどをシミュレーションし、マイタイムライン作成の目安としてお示しをいたします。
また、合わせて庁内でも、どのタイミングで、どの部署や班が、どのような業務を実施する必要があるかを改めて確認し、行政タイムラインを作成して参ります。
(略※)
○松本議員
2-3防災・災害対応力の向上について、水害対応について理解しました。着実に進められるよう要望致します。
さて、その他にも、会派として提言して参りました災害関連死を防ぐための避難所環境向上につながる小中学校体育館のエアコン設置、そして災害時の情報ネットワーク構築に向けた公共施設等でのWifi環境の構築、ライン・SNSの普及の取組みも評価致します。
そして小中学校体育館のエアコン設置などは教育と防災の両方の観点で進められていると理解していますが、防災施策は全庁体制で行うことが求められます。
会派として危機管理部署がリーダーシップを発揮すべきと提言してきましたが、どう取り組まれているのか、最後にお聞かせ下さい。
(略※)
○総務部理事
これまでの防災力向上のための取組みについてご質問にお答え致します。
庁内全体の防災力向上のための取り組みといたしましては、災害の発生やその恐れがあるときに、各所属や対策本部の各班が必要な行動を的確に起こせるよう、災害時を想定し、どの時点で、どのような業務を実施すべきかを確認して参りました。
具体的には、令和2年度に地震を想定した災害対策本部の運営訓練を実施いたしましたが、この訓練では、事前に震災被害の想定を付与し、各班で取るべき行動や連携体制をしっかりと整理した上で、災害対策本部で報告すべき事項の確認を行うなど災害対策本部体制の強化を図ってまいりました。
令和3年度は、水害を想定した災害対策本部の運営訓練を実施する予定で、現在、各所属や班では、水害が発生する恐れがある場合に実施すべき業務や課題の確認を行っているところです。こうした訓練を毎年度継続して実施していくことで、さらなる防災力の向上につなげてまいりたいと考えております。
この他にも、現在整備を進めている小中学校の体育館や味舌体育館のエアコンについて、災害時に都市ガスや電力供給が途絶えた場合でもプロパンガスで稼働する機種としてもらうよう働きかけて参りました。
また、瞬時に多くの職員と情報を共有できるITツールを導入することで、より迅速に緊急参集を行うことができる体制を整えるなど、全庁的に防災力が向上するよう努めて参りました。
令和4年度も引き続き防災行政の核を担い、市民の皆様のご期待にお応えできるよう努力を重ねて参ります。
(以上)
(音声データ等より作成)
※当該質問に関係のない他の質問項目の部分は省略しています。
Ⅳ まとめ
危機管理体制の改革を経て、摂津市の防災行政は力強く前進していると言えます。
これまで遅々として進まなかった政策もこの2年で進んでいるところです。ただし、淀川氾濫等これまでの地震対応だけでなく、水害対応も求められる中、まだまだ道半ばの状況です。
そして広域避難には、大阪府との連携強化も必要不可欠です。
また、私は地域防災計画の改訂、災害対策本部訓練・防災訓練、BCPの策定、これらをサイクルで取り組めるようにすべきと提言しています。
具体的には、地域防災計画の改定は1年目、地震のBCPの改定は2年目、水害のBCPの改定は3年目などのサイクルをやっていくということです。地震・水害対応の災害対策本部訓練を行い、課題をあぶり出し、その課題をBCP、地域防災計画に反映する、そしてPDCAサイクルを繰り返して、有事における行動への精度を高めていくのです。
現状は、BCPはまだ策定途中であり、災害対策本部訓練も令和3年度は中止になるなど、PDCAサイクルを回すことができていない状況です。危機管理体制が強化されてもまだ揃えるべき計画は整備されていません。
どれだけ本市の整備が遅れていたかを示すものです。しっかりと整備を進めて行かなければなりません。
引き続き、摂津市の安全安心のまちづくりのために議会にて提言してまいります。
Ⅵ 関連リンク