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摂津市の持続可能な地域公共交通に向けて(令和4年度の取組み)


Ⅰ 概 要

 摂津市における地域公共交通の現状ついて、多くの市民の方からもっと利便性を高めて欲しいという要望があります。そのため市内の公共交通の利便性向上について、かねてから議会にて議論され続けています。

 

 そして、それら議論を踏まえて、市は令和4年度に持続可能な摂津市の地域公共交通計画の立案に取り組むこととしました。まずは市内の公共交通がどうあるべきかを明らかにし、それを踏まえて具体的施策へと進めて行くとしています。

 

 摂津市の持続可能な地域公共交通に向けての改革が進められます。


Ⅱ 公共交通の現状について

 まず、摂津市の公共交通の現状について述べます。

 

1.鉄道・モノレール

 本市では、5つの鉄軌道の駅があります。

 

 JR千里丘駅、阪急正雀駅、阪急摂津市駅、モノレール摂津駅、モノレール南摂津駅です。そのうち最大の乗降客数はJR千里丘駅の約4万人です。摂津市議会議事録総務建設常任委員会より) 

 

 鉄軌道駅については、決して少なくありません。ただし、安威川以北が4駅、安威川以南が1駅という南北格差があります。さらに、今後は健都のさらなる発展とJR千里丘駅西地区再開発や、阪急京都線連続立体交差事業にて、JR線・阪急線沿いの安威川以北の発展が見込まれています。

 

 そのため、議会において安威川以南、特に鳥飼地域への地下鉄延伸等の鉄軌道拡充の要望が幾度も行われています。ただ、府や民間会社が主となり、数百億円といわれる建設費用とそれに対する利用者数等から踏まえ、その実現の可能性は低いというのが現状です。

(図は、摂津市議会議事録や鳥飼まちづくり資料より作成)

 

 

2.バスなど

 本市では、近鉄バス、阪急バス、京阪バスの私鉄バスと、市の市内循環バス、公共施設巡回バス(セッピイ号)の5種類のバスが運行されています。

 市内循環バスと公共施設巡回バスは市が民間事業者に委託し、民間事業者の空白地帯を補っています。

 

 そのバスの地域公共交通については多くの要望があります。

 例えば千里丘6丁目の方から、市役所までの便が無いので確保して欲しい。別府の方からは土日もバス便を増やして欲しい。南別府の方からも同様です。鳥飼の方からはバス停までも距離があるため、バス停を増やす工夫や、バス停での駐輪場や駐車場の確保が必要ではないか、等々です。

 そして市の市内循環バスと公共施設巡回バスも便数が少なく、使い勝手が悪い、もっと良くして欲しいとのご意見も聞きます。

 

 市内地域によって用途に特徴はありますが、いずれもバスへの期待が高く、その利便性を高めて欲しいというものです。

 

 これらの要望については市担当部署に伝え、意見交換を行い、そして議会でも幾度も議論しています。

 

 ただ、全ての要望を満たす改善策は見出せていないのが現状です。

(図は、摂津市資料より引用)

 

 なお、摂津市では平地が大半を占めるため、自転車での移動推奨しています。そのための「摂津市自転車活用推進計画」を2020年に策定し、自転車レーン・矢羽根標示といった取り組みを逐次進めています。

 そして2022年4月からの「摂津市シェアサイクル実証実験」も都市交通システムの一環としています。

 

 

 当然のこと自動車利用利便性向上も図っています。

 

 私ども自民党は中央環状線と十三高槻線交差部の平面による交差点を要望しており、これが実現すれば市内の道路交通網の利便性向上はさらに図られます。阪急京都線連続立体交差事業での開かずの踏切解消といった摂津市内の渋滞対策もこれらの施策の一環と言えます。

 

 参考に、市の道路交通情勢調査H27年の資料を掲載します。


Ⅲ 持続可能な地域公共交通政策について

 市内の公共交通の現状を踏まえて、持続可能な地域公共交通に関しての議会等での議論の焦点は、摂津市で取り組むことができるバスになります。

 

 ただ、バスもまた、バス運転手不足の深刻化、それに加えて新型コロナウィルス感染症対策による人流抑制等により乗降客の減少等経営に悪影響を与えている状況があります。実際に、市内を走る近鉄バスや阪急バスにおいて一部の路線において減便等(2021年)が発生しています。

 

 そのため、摂津市は課題解決の為に、現状を把握し、将来を見据えた課題も認識した上で、地域のニーズにあった、自らデザインする地域交通を構築し、持続可能な地域公共交通を目指すことを2022年から取り組み始めました。

 具体的には、持続可能摂津市地域公共交通計画の立案で、本市にふさわしい交通サービスのあり方を検討し、公共交通を目指すべき姿を明らかにし、鉄道、バス、自動車、自転車、歩行者等がバランスよく組み合わされたものを具体化するというものです。このことは令和4年第1回定例会にて質疑応答を行っています。(詳細は次の議事録参照)

 

 

 また令和4年第1回定例会後も、担当部署と意見交換を適時行っています。その中で担当部署からは、例えば、公共交通の実態について摂津市と他市と比較すること、また市として今後の取り組みの前に、市の公共交通がどうあるべきか、背景をしっかりと作成し、お示ししたい。それらが明らかになったうえで、具体的に必要な経費や、市の予算に沿った相応しい政策についての議論を進めていきたい、といったものです。

 

 私からは、摂津市の坂道がほとんどない特徴を活かした自転車の一層の利用促進、公共交通のオンデマンド形式、また河内長野市の「南花台モビリティ【クルクル】」の取組み紹介(これは既に調査済でした。)などを意見しました。

 

 また私は、これまでの議論において鉄道駅が少ない鳥飼地域地域公共交通の利便性向上として、巡回バスを見直し、鳥飼地域内をぐるぐる回るコミュニティバスを採用し、鳥飼地域から外へ出る場合には、阪急バス等の事業者バスとの接続を図るのが良いのではないか、と提言しています。これは鳥飼地域内の既存事業(阪急バス等)との共存を図ること、鳥飼地域内でのバス待ち時間の短縮・停留所増設で、鳥飼地域の利用者ニーズを満たすという考えです。

 合わせて、コンビニでの行政手続きの拡充といった行政サービスを市役所でなくても地域内で受けられること、そして鳥飼地域の賑わい創出、教育の向上・小規模学校対策も取り組んでいます。

 鳥飼地域を一つのコンパクトシティと捉えて、その域内で市民の皆さんが行政サービス受益等、完結するならば、交通に不便を感じることが減る。そういった総合的な取り組みも考え、提言しているところです。

 

 

 


Ⅳ 議事録

 摂津市議会の令和4年第1回定例会にて、市内の地域公共交通の現状について確認するとともに、どういう方向性で、今後の持続可能な地域公共交通について計画するのかなどについて議論を行った。

 

令和4年第1回定例会代表質問 ~本会議2日目 2022年3月7日~

議事録(抜粋)

(自民党・市民の会の松本議員が会派を代表して質問。内容は会派で検討したものである。)

 

2-6 持続可能な地域公共交通について

 

○松本議員

 2-6持続可能な地域公共交通について、現在、多くの地域でバスをはじめとする公共交通サービスの需要低下や経営悪化などにより、公共交通の維持・確保が厳しくなっています。

 本市も昨年、市内の路線バスが減便され、市民生活に大きな影響を与えており、地域の移動手段の確保・充実を図る取り組みが、一層重要になっています。

 そこで持続可能な地域公共交通の実現に向け、どうお考えかお聞かせ下さい。

(略※)

 

○森山一正市長

 持続可能な地域公共交通についての質問でありますが、地域公共交通につきましては、人口減少や高齢化が急激に進む中、また、バス運転手不足の深刻化など、公共交通の確保・維持は容易ではなくなっている事は認識しております。加えて現在、新型コロナウィルス感染症対策による人流抑制が乗降客の減少等、さらに追い打ちをかけている状況であります。

 本市においても同様にその影響受けており、これまで市内を走る近鉄バスや阪急バスにおいて一部の路線において減便等が発生しております。

 需要と供給のバランスから負のスパイラルに陥らないためにも、効率よくまた利用しやすい環境を作ることが必要であります。

 そのためには、現状把握し、将来を見据えた課題も認識した上で、地域のニーズにあった、自らデザインする地域交通を構築する必要があります。持続可能な地域公共交通を目指し、今後もしっかりと取り組んで参ります。

(略※)

 

○松本議員

 2-6持続可能な地域公共交通について、自らデザインする地域交通を目指す意思を理解しました。

 これからは、地域公共交通のあるべき姿を自治体が明確に示すと共に、自治体とバス事業者が緊密に連携して、地域の足を守っていく取り組みが重要になります。

 令和4年度は、有識者の指導・助言を踏まえ、将来の在り方を検討すると伺っていますが、公共交通の維持・確保に向けた今後の取り組みについてお聞かせ下さい。

(略※)

 

○建設部長

 続きまして公共交通の維持確保に向けた今後の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

 市の公共交通につきましては、効率的に機能する交通ネットワークの実現に向け、摂津市行政経営戦略等に基づき、まちづくりと一体となって進めていく必要があります。

 令和4年度は人口減少や高齢化といった本市の課題と将来像を見据えながら、地域特性に即した公共交通の目指すべき姿や今後の交通計画の基本的な方針、公共交通としての市の役割やサービスレベルの設定を行い、今後の市の基本となる交通計画の考え方を整理して参ります。

 本市にふさわしい交通サービスのあり方を検討し、公共交通を目指すべき姿を明らかにし、鉄道バス自動車自転車歩行者等がバランスよく組み合わされた、持続可能な摂津市の地域公共交通計画の立案に取り組んで参ります。

(略※)

 

○松本議員

 2-6持続可能な地域公共交通について、公共交通の維持・確保に向けた今後の取り組みについて理解しました。

 市民の足を守り、地域の暮らしを支えるために、将来にわたって持続可能な公共交通網をどのように構築していくのか、しっかりと考えなければなりません。

 それには、地域の実情に合わせ交通手段を見直し、効率的かつ高い利便性を確保して、利用者を増やし、地域で支え合うことで持続する、そのような形が求められるのではないでしょうか。

 まちづくりの観点からは、充実した公共交通網を活かしながら、駅の利便性を高め、駅を中心としたまちの活性化に取り組んでいくことも大変重要です。

 是非、地域住民やバス事業者と連携しながら、誰もが利用し易く持続可能な公共交通ネットワークの構築を目指すよう要望致します。

 

 (以上)

(音声データ等より作成)

※当該質問に関係のない他の質問項目の部分は省略しています。

 

 


Ⅴ まとめ

 

 高齢化社会において、地域の足を確保することは非常に重要になります。

 

 そして市民ニーズの高い政策でもあります。

 

 また地域公共交通の維持・向上には市民の方々の協力も必要になります。如何に良い形でもサービスを提供したとしても、利用者がいなければ、結局は存続できません。その点での啓発活動も必要になります。

 

  少しでも市民の利便性向上につながる地域公共交通実現できるよう、議会からしっかりと取り組んでまいります。

 

 

 


Ⅵ 関連