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大阪は成長しているのか?総生産・所得等の統計で見る(2000年頃~現在)①


Ⅰ はじめに 

 

 維新の虚構に騙されていませんか??

 

 大阪は成長しているのか?

 

 改めて、大阪府の現況に関して数字で分かること、すなわち統計データ等で幾つかまとめ、確認しました。

 

 その統計データは、①人口統計、②県内総生産、③1人当たり県民所得、④企業関連、⑤教育、⑥府議会、となります。

 ①~④で大阪府が成長しているのかどうか、⑤は大阪の教育力が向上しているのか、⑥は府議会はどう構成されているのかを知ることができます。

 

 そのデータの収集時期については平成12年(2000年)~令和4年(2022年)の範囲内で、あくまでも収集できる範囲です。その時期は大阪府では2000年からの自民党の太田房江(齊藤房江)知事の8年、そして2008年の橋下知事から維新である現在の吉村知事までの期間となります。(下図参照)

 なお、比較対象として関東、中部、九州の主要県である神奈川県愛知県福岡県も合わせて載せます。比較することでより客観的に見ることができるでしょう。(残念ながら東京都はレベルが違い比較にならないので対象から外しました。)

 

 


Ⅱ 人口統計

 大阪府等の人口について、国勢調査から表とグラフを作成しました。

 大阪府の令和2年の人口は883万7千685人です。20年間で約3万2千人の増加です。

 また、全国では人口は減少していますが、他の3県は大阪府より増加しています。そして神奈川県の人口は、大阪府よりも約40万人も増え、大阪府を抜きました。

 

 より分かりやすく比較できるように、人口増減率の表とグラフを作成しました。

 平成12年(2000年)を100として令和2年(2020年)までの増減率を示したものです。

 全国は21年間で2000年比、99.4%で減少しています。大阪府は2000年比0.4%増ですが、他の3県と比較してその増加率は低いです。


Ⅲ 県内総生産

 大阪府等の県内総生産(府内総生産)について内閣府の県民経済計算から表とグラフを作成しました。

 平成18年(2006年)と平成30年(2018年)を比較すると、大阪府は愛知県に県内総生産を抜かれています

 2011年は大阪府だけでなく他の県、そして全県計も大きく金額が下がっています。これは2008年秋のリーマン・ショックと2011年春の東日本大震災による影響でマイナス成長が続いたためです。(参照【RIETI - 世代間格差に拍車をかけたリーマン・ショックと東日本大震災の爪痕】)その後の回復の状況が、4府県で異なったということです。

 

 より分かりやすく比較できるように、県内総生産の増減率の表とグラフを作成しました。

 平成18年(2006年)を100として平成30年(2018年)までの12年間の増減率を示したものです。

 2011年は4つの府県、そして全県で2006年比でマイナスとなっています。それから2018年に回復し、2006年より増加しています。

 大阪府は他の3つの県、そして全県と比較して、2006年からの増加率は低く、0.77%に過ぎませんでした。僅かと云えども確かに成長はしていますが、他と比較すれば、とても政策的に経済成長を導いているとは言い難いものです。

 大阪府では2015年から2019年にかけてインバウンド需要が大きく伸びましたが、実際のところ、この状況です。


Ⅳ 1人当たり県民所得

 大阪府の1人当たり府民所得について内閣府の県民経済計算から表とグラフを作成しました。

 平成18年(2006年)と平成30年(2018年)を比較すると、大阪府は全県計よりもを県民所得が低くなり、その所得自体も下がっています。

 2011年は大阪府だけでなく他の県、そして全県計も大きく金額が下がっています。これは2008年秋のリーマン・ショックと2011年春の東日本大震災による影響でマイナス成長が続いたためです。(参照【RIETI - 世代間格差に拍車をかけたリーマン・ショックと東日本大震災の爪痕】)その後の回復の状況が、4府県で異なったということです。

 

 より分かりやすく比較できるように、県内総生産の増減率の表とグラフを作成しました。

 平成18年(2006年)を100として平成30年(2018年)までの12年間の増減率を示したものです。

 2011年は4つの府県、そして全県で2006年比でマイナスとなっています。それから2018年には大阪府を除く3県、そして全県計では回復し、2006年より同じ、又は増加しています。

 大阪府は、松井知事の2018年が太田知事の2006年を下回りました。2018年は、2006年比で-1.57%で、成長していません。


V 企業関連

 企業は雇用を生み出し、そして税収入を上げます。ヒト・モノ・カネを地域に集める企業が地域経済を担っています。

 その企業に関して、上場企業や本社移転動向について確認しました。

 まず民間会社の四季報から上場会社の本社数について確認し、表を作成しました。

 大阪府は、上場会社の本社数が2001年から2021年の20年間で65社減りました。この数字は日本一となり、2001年からの増減率は87%で、マイナス13%です。

 

 また、㈱帝国データバンクの大阪府・本社移転企業調査によると、2021年に大阪府へ転入した企業は153社、転出した企業は213社となり、1982年以降40年連続の転出超過となったとのことです。

 下記表とグラフは同調査による2000年から2021年までの大阪府の本社移転企業数を示したものです。22年間で1948社の転出超過となっています。

 

 次に、4府県で本社移転企業数について、「転入ー転出」の数値で比較してみました。同じ㈱帝国データバンクからそれぞれに関するデータを抜き出し、表にまとめました。(ただし、愛知県については全ての数値を記載できませんでした。)

 大阪府の本社移転企業数の転出超過は、他3県と比較しても多い現状です。特に21年間で、神奈川県の1640社の転入超過と大阪府の1888社の転出超過は大きな差です。

 

 

 最後に、大阪府等の事業所数について、総務省・経済産業省の経済センサスから確認しました。

 

 平成21年(2009年)から令和元年(2019年)の10年間を一表にしました。大阪府は2009年の事業所数から2019年の10年間で、6万4千の事業所が増えています。

 

 より分かりやすく比較できるように、都道府県別事業所数の増減率の表とグラフを作成しました。

 平成21年(2009年)を100として令和元年(2019年)までの10年間の増減率を示したものです。

 2009年から2019年の10年間で大阪府は神奈川県に次ぐ増加率となっています。全国よりも高い状況です。


Ⅵ 教 育

 将来の地域を支える世代が、適切な教育を受けられるよう都道府県(市町村)は責任を持って、適切な教育環境を子ども達に提供しなければなりません。質の高い教員の確保も重要です。

 

 さて大阪府の教育向上しているのでしょうか? それらについて、子ども達の学力から確認します。

 

 大阪府の公立中学校の国語と数学について、国立教育政策研究所の全国学力・学習状況調査から表とグラフを作成しました。

 大阪府は教職員にかかる定数(全市町村)及び人事(大阪市・堺市・豊中市・箕面市・池田市・能勢町・豊能町以外)に関することを担当しています。(参照【大阪府/教職員室教職員人事課 (osaka.lg.jp)】)

 

 下記表は国語について全国と4府県についてまとめたものです。平成29年以前は国語Aの正答率を使用しています。

 大阪府の中学生の国語平均正答率は全国平均を平成19・24・29年・令和3年、いずれも下回っています。

 

 また、より分かりやすく全国の平均を100とした場合の指数を表とグラフにしました。

 大阪府は、他3県と比較して、指数が低いのが一目瞭然です。

 

 

 次に、下記表は数学について全国と4府県についてまとめたものです。平成24年以前は数学Aの正答率を使用しています。

 大阪府の中学生の数学平均正答率は全国平均を平成19・24・29年・令和3年、いずれも下回っています。

 

 また、より分かりやすく全国の平均を100とした場合の指数を表とグラフにしました。

 大阪府は、他3県と比較して、増減の幅は低く、平成19・24・29年・令和3年で全国平均に達していないのが現状です。

 教育に関して、大阪府の中学生の学力は全国平均を国語・数学ともに平成19・24・29年・令和3年、いずれも下回っています。


Ⅶ 府県議会

 大阪府は身を切る改革というものが行われ、議員定数削減が行われています。

 

 その状況について確認しました。

 

 大阪府議会等のHPから府県議会の議員定数・会派等について表を作成しました。

 令和4年5月現在の4府県議会について、議員定数では大阪府は88人で、福岡県の87人に次いで少ないです。

 また、議会定数を占める第1会派の割合は過半数を超える55%となっており、愛知県の第1会派の割合56%に次いで高いです。この割合が高いほど、第1会派の議会内の力が強いことを示すものです。

 

 大阪府のこれまでの府議会議員選挙時での各会派の人数、割合等について表を作成しました。

 2007年選挙時は大阪府議会の議員定数は112人で、第1会派の割合は40%でした。2019年選挙時には議員定数88人となり、第1会派の割合は58%と2007年以降で最大となりました。

 2023年選挙時には議員定数は88人から79人に削減される予定です。中選挙区制が崩れていくわけですので、第1会派の割合がさらに高まることが予想されます。

 

 4府県議会の議員1人当たりの人口を一表にしました。人口については「Ⅱ 人口統計」を参照しました。 

 福岡県の県議会議員1人当たりの人口は約5万9千人です。これに対して、大阪府は約10万人となり2倍近くの差となります。そして議員定数が79人になれば、大阪府議会議員1人当たりの人口は約11万1千人となります。

 一票の格差は拡大となります。


Ⅷ まとめ

 以上、「Ⅱ 人口統計」、「Ⅲ 県内総生産」、「Ⅳ 1人当たり県民所得」、「Ⅴ 企業関連」、「Ⅵ 教育」、「Ⅶ 府県議会」について各種データをまとめ表等で示しました。

 

 

 それらの表を踏まえ、大阪府は成長しているのか?

 

 

 その問いに対しては、上記で示した県内総生産や1人当たり県民所得、企業本社の移転(大阪府は本社から支社に格下げが多いということでしょうか。)推移などと、他府県との比較を見れば、残念ながら成長できていない、と答えざるを得ないのではないでしょうか。インバウンド需要も成果は府全体から見れば限定的でしょう。

 微増している府内総生産も全国で増加している影響を受けただけで、とても大阪府の経済政策が効果を発揮して増やしたとは言い難いでしょう。むしろ上場企業を含むの本社転出の流れは阪府経済力の低下を示すものではないでしょうか。

 

 

 教育の面でも、学力は向上しているとは言えない状況です。大阪府の中学生の学力は全国平均を国語・数学ともに平成19,24,29年、令和3年、いずれも下回っており、むしろ低下傾向かもしれません。

 

 

 府議会においては、他県議会の状況も踏まえて、一票の格差が拡大しています。

 

 そのうえで、上記統計を踏まえ議員定数削減経済成長関連が無いと言えるでしょう。提示した統計データで大阪府より全てを上回る神奈川県の議員定数や福岡県、愛知県の議員定数を見れば明らかです。

 

 大阪府の議員定数削減の効果としては第1会派の議会定数を占める割合を一層、高めることを示唆しています。このことは、政治的に強い者にとって有利になるだけと、言えるのではないでしょうか。

 

 

 

 大阪府の厳しい状況を改めて確認できたということでしょう。

 

  

 この実態を見て、あなたはどう思われますか??

 

 維新の虚構に気付きましたか?

 身を切る改革は、大阪を良くするのではなかったのでしょうか?

 自分たちが選挙に勝つための手段だったということなのでしょうか?

 選挙に勝つためになら何でもやる、本当にそれが府民の為になるのでしょうか??

 

 これらの指標は一部を抜粋したものです。

 他の指標についても今後、比較できるものは比較してみたいと思います。

 

 


 

追記 2022.11.23(記事)

「関西の年収300万円未満世帯、2010年代に増…観光業界で非正規増、訪日客急増に負の側面も アジア太平洋研試算」

記事抜粋:(略)関西で年収300万円未満だった世帯の割合は、14年の14.4%から、19年には17.3%に増えた。これに伴い、中間層にあたる年収300万円以上800万円未満の世帯の割合は、14年の63.8%から19年の58.9%に減少した。

 一方、全国では、年収300万円未満の世帯の割合が、同じ5年の間で15.5%から15.3%に減っており、関西とは対照的な結果となった。(略)

 背景にあるのは、訪日客数の増加だ。関西では12年の182万人から、コロナ禍前の19年には約4.6倍の841万人に増え、全国の伸び率(約3.8倍)を大きく上回った。人手を確保するため、宿泊施設や飲食店が雇用を増やしたものの、非正規労働者が中心だったため、世帯当たりの年収押し下げたとみられる。

 産業構造の変化も影響している可能性がある。

 2010年代になると、アジア勢の台頭で関西の経済を先導してきた電機業界はかつての勢い失い雇用の減少を招いた。情報技術(IT)など高付加価値型のサービス産業が集積する首都圏に人材が流出していることも大きい。

 コロナ禍で訪日客需要が消失した20年以降は、飲食業や宿泊業の非正規労働者が勤務時間を減らされたり、雇い止めにあったりするケースが相次いでおり、所得環境さらに悪化しているとみられる。

 

追記 2023.2.3(記事)

維新が喧伝する「大阪は高等教育無償化」の大嘘! 実態はドケチ、人口減少続く違和感

記事抜粋:(略)維新は何かと「大阪では高等教育まで無償化」と主張し、タダで学校に通えるかのように主張するが、真っ赤なウソだ。

 大阪で無償なのは授業料のみで、入学金などは必要だ。所得制限があるため、授業料が無償なのは約半数にすぎない。大阪公立大の授業料補助制度も所得制限がある。学生と保護者ともに府内に3年以上住んでいなければならず、成績が上位2分の1以上でないと打ち切り。補助を受けているのは全学生の3割もおらず、授業料全額無償の学生はひと握りだ。

 子育て家庭に優しい行政を展開していれば、府内の住民はグングン増えそうなものだが、実際はこの10年あまり人口減少傾向。育児支援を充実させたお隣の兵庫県明石市には子育て世帯がどんどん転入し、10年連続人口増となっているのとは対照的だ。


Ⅸ 関連リンク

追記 2022.6.6

 【追加リンク】2022.6.10

安全保障と中国の戦略から大阪を見る。