Ⅰ はじめに
昨年8月の摂津市で起きた児童虐待死事件の再発防止は非常に重要です。
これまでの検証報告書等を踏まえ、市は児童虐待防止のための体制強化や、2022年4月から新しい幼保ソーシャルワーカーの採用やスーパーバイザーの招聘、そして関係機関との連携強化に取り組んでいます。
それらの取組みが実際に機能しているのか、反省が活かされているのか、議会等で確認しました。
2022年7月時点では、しっかりと取り組まれているものと考えます。詳細は以下の通りです。
Ⅱ 各取組みの状況
1.市の体制強化について
摂津市の児童虐待対応の所管課である「家庭児童相談課」の体制について、R4年度から児童虐待対応を行う職員を2名増員し、8名体制としています。これにより、4名1組の2チーム制とし、職員が1人で問題等を抱えることなく、チーム内で情報共有しアセスメントしながら、複数の職員による虐待対応を行えるようになっています。
また、小学校区ごとの担当制としたことで、小中学校や保育所、主任児童委員等、地域との連携が図りやすくなっているとのことです。
さらに家庭児童相談課のリスクアセスメント力を高めるためにスーパーバイザーを招聘しています。昨年度の事件後に招聘している白山真知子臨床心理士については、新規の通告事案や対応困難事案を、奥野祐希弁護士は様々な関係機関が関わる個別ケース検討会議に諮る事案について助言・指導を得ている状況です。(子どものSOSのキャッチ、学校への見守りポイントの助言、虐待に至る背景の助言等)
またR4年度から新たに、峯本耕治弁護士に要保護児童対策地域協議会の新規受理会議に参加頂き、助言・指導を得ています。
例えば、新規通告ケースでは、初期の処遇方針を見誤らないように、スーパーバイザーの臨床心理士に助言指導を仰ぎながらプランを立てるようにしてリスク管理を強化しています。家庭内ルール作り、親へのカウンセリング、家庭内のキーパーソンの確認等々も助言・指導を得ています。
2.要保護児童対策地域協議会等について
要保護児童対策地域協議会の新規受理会議で使用するケース台帳の様式を、吹田子ども家庭センターと協議しながら改善を図っています。
具体的には、台帳の記載項目を細分化して見やすくし、内容も充実させたことで、関係機関との議論が深まり、支援方針や各機関の役割分担についても、これまで以上に明確化が図られています。
また重症度の高いケースからの検討(重度→中度→軽度の重症度順に協議)や、協議時間の延長も行われています。
リスクが高い事案については、子ども家庭センターと各機関が参加する個別事例検討会議の開催を徹底し、情報共有を図りながら、共同アセスメントを行っています。
進行管理会議等の体制見直しも行われています。
〇「以前」吹田子ども家庭センター(地区担当)+摂津市 家庭児童相談課(ワーカー)、出産育児課(保健師)、こども教育課(保育士)、学校教育課(SSW等)
〇「改変後」吹田子ども家庭センター(地区担当・総括担当)+摂津市 家庭児童相談課(ワーカー2名+管理職)、出産育児課(保健師)、こども教育課(保育士)、学校教育課(SSW等)、人権女性政策課(管理職等)
3.幼保ソーシャルワーカーについて
前回のブログで紹介した(仮称)保育ソーシャルワーカーが、幼保ソーシャルワーカーという正式名称になりました。市が採用しています。
現在、市外も含めて要保護児童が在籍している就学前施設を中心に幼保ソーシャルワーカーが訪問を行っています。ワーカーが就学前施設に出向いて、直接子どもの様子を見ることで、表情や愛着障害の行動など、虐待が潜在していないか確認しています。
また、就学前施設との連携が密になったことで、保育等の現場において虐待に対する意識が高まり、少しでも気になる怪我や痣があれば、これまで以上に、家庭児童相談課に情報提供や相談するようになっています。
4.地域との連携について
地域との連携を強化するために、主任児童委員と協議し、要保護児童の情報共有のあり方や見守りのルール決めを行い、実践しています。
小中学校、保育所との連携も市の体制強化・幼保ソーシャルワーカーの採用も相まって強化されています。
5.人材育成について
虐待対応における人材育成の取り組みも行っています。
R4年4月に市は、本市スーパーバイザーの弁護士を講師として、要保護対策地域協議会の新規受理会議構成機関である庁内担当職員向けに「共同アセスメント・共同プランニングの研修」を実施しました。
6月には、市内の公私立の保育所・こども園の保育士向けに「保育現場から見た児童虐待対応研修」を実施しました。今後、学校の教職員や母子保健担当者等を対象とした研修も実施する予定です。
8月にも、今一度、児童虐待防止に対する意識を高めるために、市の幹部職員や要保護児童対策地域協議会の関係機関を対象とした研修を実施する予定としています。
その他、大阪府や他機関が主催する研修にも積極的に参加し、虐待対応に資する意識とスキルの向上を図っています。
Ⅲ 議事録
議会でも新しい体制による機能発揮の状況について質疑しました。
令和4年第2回定例会一般質問 ~本会議3日目 令和4年6月27日~ 議事録(抜粋)
1 新体制での児童虐待防止の取り組みについて
○松本議員
新体制での児童虐待防止の取り組みについて、昨年の児童虐待死事件の再発防止は非常に重要です。
これまで検証を踏まえ、議会で庁内の情報共有などの部局横断的対応、リスク管理強化、そして最悪を想定した行動を行うことなどを提言していますが、現状、どのように取り組まれているのか、お聞かせください。
(略※)
○南野議長
次世代育成部長。
○次世代育成部長
部局横断的な対応やリスク管理の強化、最悪な事態を想定した行動についてのご質問にお答えいたします。
昨年度の大阪府の検証委員会における報告書が公表されて以降に、校長会や公私立園長会のほか、外部機関も参画している要保護児童対策地域協議会など部局横断的な会議体におきまして、再発防止策を説明した上で、各機関とのさらなる連携強化の必要性を訴えて参りました。
また、リスクが高い事案につきましては、子ども家庭センターと各機関が参加する個別事例検討会議の開催を徹底し、情報共有を図りながら、共同アセスメントを行っております。
リスク管理を高める取り組みといたしましては、新規通告ケースにつきまして、初期の処遇方針を見誤らないように、スーパーバイザーの臨床心理士に助言指導を仰ぎながらプランを立てるようにいたしております。
それぞれのスーパーバイザーの指導助言による多くの気づきにより、職員一人ひとりの意識やスキルが高まり、一時保護に繋ぐタイミング等の見立て力も向上しているものと感じております。
(略※)
○松本議員
これよりは一問一答形式でお願い致します。
まず、児童虐待防止の取り組みについて、情報共有等着実に取り組まれていることを理解しました。
そのうえで家庭児童相談課の体制強化や要保護児童対策地域協議会の改善といった関係機関との連携強化が図られていますが、実際どう機能しているのか、お聞かせください。
○南野議長
次世代育成部長。
○次世代育成部長
家庭児童相談課の体制でございますが、本年度、児童虐待対応を行う職員を2名増員し、8名体制といたしました。これにより、4名1組の2チーム制とし、職員が1人で問題等を抱えることなく、チーム内で情報共有しアセスメントしながら、複数の職員による虐待対応を行っております。
また、小学校区ごとの担当制としたことで、小中学校や保育所、主任児童委員等、地域との連携が図りやすくなったと実感しております。
さらには、本年度から新たに幼保ソーシャルワーカーを配置したことにより、就学前施設との連携がより深まり、虐待の早期発見に寄与しているものと考えております。
次に、要保護児童対策地域協議会につきましては、塚本議員のご質問でもご答弁申し上げましたが、要保護児童対策地域協議会の新規受理会議で使用するケース台帳の様式を、吹田子ども家庭センターと協議しながら改善を図りました。台帳の記載項目を細分化して見やすくし、内容も充実させたことから、関係機関との議論が深まり、支援方針や各機関の役割分担についても、これまで以上に明確化が図られたところです。
○南野議長
松本議員。
○松本議員
体制強化や要対協がこれまでの反省を踏まえ、しっかりと対応されているものと理解しました。
そしてこれらは継続していかなければなりません。その為には人材育成も欠かせませんが、これについてはどうお考えかお聞かせください。
○南野議長
次世代育成部長。
○次世代育成部長
虐待対応における人材育成の取り組みについてですが、本年4月に、本市スーパーバイザーの弁護士を講師にお迎えし、要保護対策地域協議会の新規受理会議構成機関である庁内担当職員向けに「共同アセスメント・共同プランニングの研修」を実施し、6月には、市内の公私立の保育所・こども園の保育士向けに「保育現場から見た児童虐待対応研修」を実施致したところでございます。今後、学校の教職員や母子保健担当者等を対象とした研修も実施する予定でございます。
さらには、昨年の3歳死亡事案発生した8月にも、今一度、児童虐待防止に対する意識を高めるために、市の幹部職員や要保護児童対策地域協議会の関係機関を対象とした研修を実施する予定でございます。
その他、大阪府や他機関が主催する研修にも積極的に参加することにより、虐待対応に資する意識とスキルの向上を図って参ります。
○南野議長
松本議員。
○松本議員
人材育成の状況について理解しました。児童虐待防止の取組みが着実に進められているものと評価致します。
そして、児童虐待防止は家庭児童相談課だけでなく、子育て支援も重要で、包括的な取組みが求められます。その包括的な取組みとして、自民党が提言し実現させたこども家庭庁が来年発足します。次世代育成部は、その先駆けとなっていると認識していますが、地域共育、地域で共に育てるも含めて包括的に、児童虐待防止に取り組まれるよう要望致します。
(音声データ等より作成)
重要と思われる部分には強調を入れています。
※当該質問に関係のない他の質問項目の部分は省略しています。
Ⅳ まとめ
この6月に行われた令和4年第2回摂津市議会定例会にて議論された内容を中心に、児童虐待防止の取組状況について記載しました。
市は検証報告を踏まえ、R4年度4月に大きな体制強化を行い、児童虐待防止の取組を進めています。約2カ月ではありますが、しっかりと機能していると理解しています。
勿論、まだまだ始まったばかりであり、様々な予期せぬ課題も見えてくるでしょう。議会からも引き続きしっかりとチェックをしていきたいと思います。
本市は周辺他市と比較して、児童虐待の人口比率がやや高い現状があります。子育て支援も充実させて包括的な取り組みが今、求められています。それもまた議会で提言してまいります。
STOP 児童虐待
◎追記 2022年10月31日
市は摂津警察署と10月28日に、児童虐待の情報共有に関する協定を結びました。これは必要な情報を共有し、虐待の早期発見と被害の未然防止を図るのが狙いです。
担当部署からは、児童相談所を管轄しない市町村として、このような事例は最初であるとのことです。
詳細は下記写真をご覧ください。(議会への説明資料)
◎関連記事「摂津市と摂津署、虐待に関する情報共有で協定 昨夏の事件を受けて」
大阪府摂津市で昨年8月に起きた3歳男児の虐待死事件を受け、市と摂津署は28日、児童虐待の情報共有に関する協定を結んだ。必要な情報を共有し、虐待の早期発見と被害の未然防止を図るのが狙い。
市役所で協定締結式があり、森山一正市長は「非常に心強く、改めて身が引き締まる思いがする。しっかりと虐待防止に向け、その責任を全うしたい」とあいさつした。摂津署の大西伸夫署長は「今後とも情報共有をしっかり図っていきたい」などと語った。
◎追記 2023年1月4日
2022年12月の議会で児童虐待に関して取り上げました。内容は下記の通りです。
【質疑概要】
11月29日の市主催の森田ゆり先生の講演「虐待は見守りでは防げない、対話力が必要」では、児童虐待防止において、見守りでは限界があり、対話力を高めることの必要性と、外的アプローチだけでは不十分で、家庭内のストレンスを高めること、すなわち家庭・保護者自身の改善が必要と講演されていた。その事を踏まえた児童虐待防止の取組みについて質疑を行った。
令和4年第4回定例会一般質問
~本会議3日目・令和4年12月20日~ 議事録(抜粋)
5 児童虐待防止での保護者ケアの重要性について
○松本議員
5 児童虐待防止での保護者ケアの重要性について、まず市は警察との情報連携の協定を先日結ばれましたが、この協定について、その経緯と概要、その効果についてお聞かせ下さい。
(略※)
○福住議長
次世代育成部長
○次世代育成部長
児童虐待における警察との情報共有の協定締結についてのご質問にお答えいたします。
昨年度の3歳児虐待死亡事案に関わる大阪府の検証委員会の報告書におきまして、「警察との連携により、早期の児童の安全確保や抑止力にも繋がるのではないか」と提言がなされておりました。
本市といたしましても、警察との連携につきましては、課題と認識しておりましたので、大阪府警本部に情報共有の協定について打診を行ったものでございます。
協定の概要でございますが、平成30年に厚生労働省から発出されました「児童虐待への対応における警察との連携の強化について」の通知文で示されております「児童の生命、身体に危険が及ぶ恐れのある外傷等を伴うもの」、「子どもの面会ができないなど安全確認に関するもの」、「一時保護等の解除に関するもの」、「その他児童の安全を確保する上で注意を要するもの」など、といった情報につきまして、警察と共有することで、児童虐待の早期発見や被害の未然防止につなげるものでございます。
効果につきましては、協定という形で明文化したことにより、警察との連携がより実効性のあるものとなり、児童虐待の早期対応、重大事案の未然防止につながることが期待され、本市の子どもの安全安心に大きく寄与するものと考えております。
(略※)
○松本議員
次に児童虐待防止について、警察との情報連携の協定締結については高く評価致します。その取り組みは児童虐待防止における外的アプローチを強化したといえます。
ただ、先日の市主催の森田ゆり先生の講演「虐待は見守りでは防げない、対話力が必要」では、見守りでは限界があり、対話力を高めることの必要性と、外的アプローチだけでは不十分で、家庭内のストレンスを高めること、すなわち家庭・保護者自身の改善が必要と講演されていました。
そこで児童虐待防止での内的要因の改善について、どうお考えかお聞かせ下さい。
○福住議長
次世代育成部長
○次世代育成部長
児童虐待通告が入れば、家庭児童相談課内で協議を行った上で、関係機関と連携しながら、速やかに保護者へアプローチを行い、指導を行っておりますが、しかしながら虐待に至った理由を確認しますと、「しつけのつもりで叩いてしまった」、「自分も叩かれて育ってきた」など、体罰を容認したり、「言うことを聞かないのでつい手が出た」など、子供の発達特性を理解できていなかったりするケースもございます。
一過性の指導に終わらず、児童虐待を繰り返すことのないよう、支援的に関わることが大切であると認識しており、虐待に至った理由や抱えている課題を丁寧に聞き取った上で、子育てへの困り感を出された保護者に対しては、家庭児童相談課の心理士が継続的にカウンセリングを行い、保護者へのケアを行っているところでございます。
○福住議長
松本議員。
○松本議員
保護者ケアを一定行っていることは理解しました。
児童虐待防止には外的アプローチ強化と内的要因の改善という両方の対応が必要です。
これまで外的アプローチは相当に強化されました。それを踏まえれば、内的要因の改善にももっと力を入れるべきではないでしょうか。どうお考えかお聞かせ下さい。
○福住議長
次世代育成部長
○次世代育成部長
心理士によるカウンセリング等で保護者ケアを実施しているところでありますが、中には、保護者自身が幼少期に激しい虐待を受けトラウマを抱えながら成人し、その時に味わった痛みや深い悲しみを、親になってから「怒り」という形で子どもにぶつけてしまうケースもございます。
決して、虐待は許されるものではございませんが、加害者である保護者自身もまた実は、被害者であるという場合もございます。このような長年心に傷を負ってきた保護者には、虐待指導や心理士によるカウンセリングだけでは、繰り返される虐待に終止符を打つことが難しい状況もございます。
そこでより専門的スキルを要したファシリテーターを養成し、保護者の内面に寄り添いながら、感情、身体、身辺等に働き掛け、保護者の「セルフケア」と「問題解決力」を回復させ、虐待の言動を終始させることを目的とする「親支援回復プログラム」が効果的と考えており、今後、導入について検討して参りたいと考えております。
○福住議長
松本議員。
○松本議員
「親支援回復プログラム」を検討していると理解しました。
是非とも内部要因の改善と外的アプローチの強化によって総合的な取り組みで児童虐待防止を更に進められるよう要望致します。
子ども達を守り、そして健全な育成へ導くその取組みが今、求められています。宜しくお願い致します。
(以上)
(音声データ等より作成)
重要と思われる部分には強調を入れています。
※当該質問に関係のない他の質問項目の部分は省略しています。
要約
①警察との情報共有の協定を締結し、児童虐待の早期対応、重大事案の未然防止につながることが期待される。
②保護者ケアでの虐待指導や心理士によるカウンセリングだけでは、虐待に終止符を打つことが難しい場合もある。
③「親支援回復プログラム」が効果的と考えており、今後、導入について検討する。
追記(2024.4.11)
1.「親支援回復プログラムについて」
親支援プログラムは2023年9月から開始されました。親支援回復プログラムの事業を提言し実現しました。
⇒令和4年第4回定例会後、令和5年度に予算化されました。
そして、令和5年第2回定例会(令和5年6月27日)の一般質問で「親支援回復プログラム」の準備状況について、質疑しました。
◎一般質問「児童虐待防止施策を一過性で終わらせないことについて」の市答弁抜粋
・現在、家庭児童相談課の臨床心理士3名がファシリテーター養成研修に参加しており、本年9月頃から、プログラムを実施できるよう、準備を進めている。
・今後、プログラムの参加者募集にあたり、小中学校や就学前施設へのチラシの配布や広報せっつによる周知のほか、家庭児童相談課が継続的に関わっている保護者へも参加の呼びかけを行う予定。
⇒そして、2023年9月からプログラムが始まりました。その成果は以下の通りです。
~令和6年度予算質疑にて・2024年3月7日(抜粋)~
◎現在の進捗状況等について
・2023年9月から開始。13週に渡って、週1回のペースで13回のプログラムを実施し、12月中旬に終了。
・8名の保護者が参加。
・2024年3月に、参加された保護者の同窓会を予定している。プログラム参加後の子供との関わり方の変化でや保護者自身の気持ちの変化など、現在の状況を参加された方と共有する予定。
◎日時の設定等や参加者の感想等について
・事業実施は平日、午前中の実施。就労さ れている方の参加もあった。都合をつけて参加し、また子どものいる家庭については一時預かりも実施している。
・場所や時間も含めて通いにくかったという声は無い。
・また、「毎回参加するのが楽しみである。」、「毎回、学びがあって休みたくな かった。」という前向きな意見がある。
⇒上記を踏まえ、同窓会をされるぐらい参加される保護者方が様々学びを深められて、思いを共有できる場となったことは、孤立家庭防止の観点からも効果的で、大変評価できる事業と考えます。
2.令和6年度 新規事業 「子育てアウトリーチャー」
孤立家庭を防止し、地域で共に育てる地域共育にもつながる事業であり、これまでの提言が実現しています。
令和6年度の新規事業として「こどもつながり訪問事業」が開始されます。
⇒事業詳細は以下の通りです。
~令和6年度予算質疑にて・2024年3月7日(抜粋)~
◎制度概要
こどもつながり訪問事業。子育てアウトリーチャーという訪問支援員等により、3歳以上の児童等で保育所や幼稚園等に通っていない子どもの訪問を行うもの。
◎対象者等について
・対象者数は、昨年9月1日現在、3歳以上児で保育所等に所属していない児童が81名。
・また、保育所の登園が安定していない児童の情報も複数寄せられている。
・年間で合わせて、おおむね100名程度を想定。
◎アプローチについて
・まず毎月保育所の入所情報を確認し、入所されてない3歳以上児を抽出し、訪問家庭を選定。
・選定した上で、市で雇用する訪問支援員、通称アウトリーチャーと市民等のボランティアによる訪問支援員も募集して、(市民等のボランティアについては、交代しながら)複数体制による訪問を行い、保護者の困り事を伺う、見守りを行う。
◎訪問頻度等
・それぞれの家庭の状況により訪問する頻度は異なってくる。
・1か月に30件から35件ぐらいの訪問を計画。少なくとも 対象の家庭には3か月に1回は訪問していきたい。
・保護者が精神的な課題を抱えている、子供の食事が提供されていない、また昼夜逆転していて生活習慣に課題があったりするような、特に心配で見守り支援が必要な家庭については、例えば週に一、二回とか訪問頻度を増やしていく必要がある。
◎市民ボランティアについて
・市民ボランティアを募集する狙いは、家庭訪問だけでく、普段の生活でも街角で見かけたら困っていることがないかなど、声をかけあえる、顔の見える関係をつくっていければと考えている。
・このことに関しては、この度、提出している条例(摂津市子どもを虐待から守る条例)においても市民の責務として、子育て家庭が地域社会から孤立することのないように、地域において子ども及び保護者を見守るように努め、関わりを深めるものとしている。
・本事業がきっかけとなって、市民ボランティアが先導役になって、条例の理念も、市全体に浸透していけばと考えている。
⇒孤立家庭防止の考えがしっかりと浸透し、施策となって具体化されています。
3.令和6年度 新条例「摂津市子どもを虐待から守る条例」
令和5年第2回定例会(令和5年6月27日)にて、児童虐待防止を一過性で終わることのないような取組み、例えば条例制定等が必要である。と提言しました。
⇒令和5年第3回定例会(令和5年9月27日)
第3回定例会にて、「児童虐待防止の取組みの進捗について」の一般質問を行いました。
質疑概要は、前回の令和5年6月に行われた第2回定例会において、児童虐待防止に関わる条例制定の必要性について質疑を行っており、第3回定例会では、市がその条例制定に向けて作業を進めているとのことで、条例としてどうあるべきか、市民の巻き込みはどうされるのかなど、条例制定の進捗について質疑を行いました。
⇒令和6年第1回定例会にて、条例案「摂津市子どもを虐待から守る条例」が議会に提出されました。
⇒詳細は以下の通りです。
~令和6年度予算質疑にて・2024年3月11日(抜粋)~
◎考えについて(担当部長)
児童虐待は子どもの心身の健やかな成長を妨げ、人格の形成に重大な悪影響を与えるだけでなく、尊厳を傷つけ将来にわた って苦しめ、時として子どもの命を奪ってしまう重大な人権侵害である。 虐待により子どもの人権や安全な生活が脅かされることがないよう、早期発見・早期対応はもとより、未然に防ぐことが何よりも重要である。
そのためには保護者のみならず市民、関係機関等に、改めて児童虐待に対する認識を高めてもらうことが必要であり、本条例を制定することで、オール摂津で虐待のない地域社会を実現するとともに、子育て家庭が地域社会から孤立することなく安心して子育てができる環境をつくり、子どもの安全・安心な生活の向上に資するまちを目指すものである。
◎条例の重点について
児童虐待による死亡事案が発生したことについては、すごい大きな痛ましい事案である。二度と同じようなことを起こしてはならないと、この強い思いを行政だけではなく市全体に浸透させていくということが重要であるという認識の下、今回、子育て世帯の孤立防止も図る重要な視点も取り入れたいという思いもあった。何よりも将来を担う子どもを虐待から守っていくというところに重点を置いた。
⇒ 条例制定の提言が実現しました。
オール摂津での児童虐待防止の取組みが推進されます。
追記(2024.4.30)
SETTSU5月号に条例に関する記事が掲載されています。
3月の条例審議の際に、条例の周知を要望しました。より多くの市民の方々に知って頂き、そして協力して頂くことが大切です。
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