Ⅰ はじめに
摂津市の学力課題の解決に向けて、
幼児期の言語力向上の取組みは極めて重要です。
令和4年度から教育委員会は「就学前教育実践の手引き」の改訂を進めるため、その改訂の方向性や内容を検討しています。私はこの改訂に際して、「言語力」に関して記載あるいは実践資料を添付すべきと考えています。なお「言語力」についてはマスクの弊害を克服しなければなりません。
また、それに合わせた小学校の小1のスタートカリキュラムの教育委員会版を策定することも提言しています。
Ⅱ 幼児期におけるマスクの弊害について
幼児教育において、コロナ禍でのマスク着用の弊害が研究されつつあります。
具体的には、大人がマスクをすることで、幼児が話を聞く際に、口がどう動いているのかを見られず、言語能力の成長に悪影響を及ぼすと研究等で指摘されています。また、表情を読めないことから、コミュニケーション力の低下も懸念されています。
実際に、こども園の園長先生にも確認すると、子ども達は保育士の顔を見て、何を話しているのか聞いてる。目と耳で学んでいるところ、マスクによって学ぶ機会が損なわれているのではないかという懸念をお聞きしています。
関連資料は以下の通りです。
①「乳児は、目や口がダイナミックに動く表情を目にしながら、喜びや怒りなど相手の感情を理解する能力を発達させていきます。また、『いい子だね」などと相手が口から発する音声とそれにともなう口の動きの視覚情報を統合しながら、言語を獲得していきます。相手の表情を理解し、その表情や音声をまねすることで、相手の心を想像する心、共感する心などを発達させていく時期です」(明和先生)
マスク着用が当たり前となった今、乳児は、こうした学びの機会を得にくくなっているのです。
出典:「脳発達の専門家に聞く、大人のマスク着用が6才までの子どもに与える影響」Benesse たまひよ 2021/01/12
②今、問題になっているのは、“コミュニケーションそのものがうまくできていない”。声は聞こえているから、言葉のやりとりはできているけれども、顔・表情、誰がどういうふうに一連の行動の中で何をしゃべったのかという、しゃべる前の段階 “非言語コミュニケーション” がきちんととれていないのではないかという懸念
出典:「マスクが子どもの発達に影響!? 口元はコミュニケーションの窓」Yahooニュース広島家族RCC 5/25(水) 19:24
③ディオーニ博士は2009年から10年以上にわたり、アメリカの0歳から3歳までの子ども1700人以上を対象にことばの発達などを記録してきました。「親の声を認識するか」「簡単な指示を理解するか」といった反応から、ことばをどのくらい理解(認知)しているかを調査しています。するとパンデミック以降に生まれた子どもが大半を占める2021年の調査では、幼児の言語機能は、基準値である100を大きく下回る「60」となったのです。(略)こうした幼児期の言語機能の低下が、長期的な発達に影響を与えるかどうかはまだわかっていません。
出典:「“マスクの顔しか知らない”子どもたち 大人ができることは」NHK WEB特集 2022年6月9日 11時55分
上記の通り、マスクに関して幼児の成長への懸念事項があります。ただ、現状では子ども園の保育士等はマスクを外すべきと、いう単純なものではありません。
なぜなら国の対応により、例えば園の中で、マスクを外している中でコロナ陽性者が生じた場合、濃厚接触者扱いが多くなり、保育士さんが休まざるを余儀なくされ、人手不足で休園という事態が懸念されるからです。休園すれば、多くの保護者の仕事に影響を及ぼします。これは園として避けたい事態です。
国がコロナを2類に指定している限り、この現状は継続されます。大変残念なことです。(5類に変更すれば、そのような社会的制約は無くなります。)
その為、マスク弊害を克服するため、幼児・就学前教育等において言語力向上を特に意識して取り組むことが今、求められています。
Ⅲ 就学前教育での言語力向上の必要性について
マスク弊害対応も含めて今後、就学前教育での言語能力の向上は特に求められます。
語彙力向上が幼児の成長に欠かせないことはこれまでの「ブログ」で記載しています。言語力がコミュニケーションのもとであり、思考・論理力だけでなく感性といった非認知能力にもつながっていきます。言語力向上の取組みが幼児の成長において極めて重要な要素なのです。
関連資料は以下の通りです。
①言語力は、読む、書く、聞く、話すための技能であるにとどまらず、「思考・論理」や「感性・情緒」などの能力とかかわり、自己及び他者と「対話」するための手段となる。
②言語に関する豊かな環境が言語力を育てる土壌となる。(略)
出典:「資料2 言語力育成のための教育内容の改善について(これまでの主な意見の例)(素案)」文科省言語力育成協力者会議
③小学校入学時に語彙力や読解力といった言語能力の高い子は、その後も卒業するまで一貫して言語能力が高く、入学時にそのような言語能力の低い子は、卒業するまで一貫して言語能力が低いままになる可能性が高いということである。(略)幼稚園入園時の語彙レベルが下位4分の1に入る子どもたちは、語彙力でも読解力でも平均以上の子どもたちや平均並みの子どもたちに追いつけないままに終わるというのである。しかも、小学校6年生までには同学年の平均的な子どもたちとの語彙力や読解力の差は、ほぼ3学年分にまで広がっているという。語彙と読解力との相互作用のため、幼児期の語彙の発達の遅れは致命的なものになるというのだ。
出典:「言語能力が低い子は成長しても読解力が低いという、これだけの研究結果」DIAMOND online2021.6.23 3:25
④言語能力とは、成長に必要ないろいろな能力を身につけるための一番基礎的な力。言語能力が育たなければ、学力は上がりません。また、言語能力を伸ばすことが、ほかの非認知能力を育てることにも繋がっていきます
出典:「学力にもっとも重要な非認知能力「言葉で伝える力(言語能力)」を伸ばすコツって?」FQ Kids2022.04.25
これまで本市では「言語力」という力を育成するというようなことは意識されていません。言葉とはあって当たり前だからです。当然、絵本の読み聞かせなどはしっかりと行っていますが、決して「言語力」に焦点が当てられているという訳ではありません。
私は、「言語力」を焦点にした「漢字遊び」での語彙力向上の取組みが、園児の成長を促したのを目の当たりにしています。そのため、学力課題を抱える本市としては幼児期における語彙力向上を、もっともっと意識して行う必要があると強く感じています。
ただし、それは必ずしも「漢字遊び」を行うということではなく、普段の日常生活の中で、言葉を意識してコミュニケーションを取る、声掛けでより多くの単語を使う、色々な施設のものにものの名前を書いた紙を貼る、といった一工夫を講じること言葉の豊かな環境を整えることでも有効と考えます。
勿論、その豊かな環境の上で、「漢字遊び」など言語力向上に特に意識した取り組みを週1回、月1回でも行えばより効果的でしょう。
Ⅳ 摂津市の課題について
「平成30年度に小学生対象に実施しました摂津市学力定着度調査においての質問にお答えします。 調査結果から、本市の子どもたちは、将来の夢やなりたい自分像は全国並みに持っていると考えられます。しかし、3年生以上で「2時間以上テレビやDVDを見たりゲー ムをしている」と答えた児童の割合は全国平均に比べ10ポイント程度高く、学年が上がるにつれてその割合が増える傾向がございます。それらから考えますと、子どもたちには抱く夢やなりたい自分像はあるものの、夢の実現に向けて「今」何をなすべきかにつながっておらず、家庭での自由時間を学習等の夢への準備時間に充てるよりもゲーム等に費やす子どもが全国と比べると多いのではないかと捉えております。」
出典:「令和元年第2回定例会一般質問 会議録」 令和元年6月26日
上記は教育委員会の議会答弁です。
私は議員となってからこれまでの教育委員会、学校関係者や保護者との意見交換を踏まえ、本市では様々な社会経済事情によって子供の教育に関心を持つ余裕のない家庭が多いという現状があり、学習意欲・家庭学習・読書活動などに影響して、他市と比較して学力が低い最大の課題と捉えています。
そして、この事は学校の教育期だけでなく、当然ながら幼児期にも一定当てはまるのではないでしょうか。
即ち、幼児になかなか読み聞かせを行う機会が確保できない、親子のコミュニケーションを取る時間が忙しくて限られてしまう、というところで、言語力の発展・語彙力向上がなかなか進まない子どもが一定数いると推測されるのです。
右表は令和3年度、市は小学校教員及び管理職、就学前教育施設の5歳児担当経験のある職員を対象に実施された就学前教育に関するアンケートの結果の一部、「入学時の課題」です。(詳細はブログ参照)
保育の5領域には【健康】【人間関係】【環境】【言葉】【表現】があります。この中で、【人間関係】と【言葉】は特に密接な関係があります。友達と密接に関わるには自分の思いを伝える、相手の話を聞くことは不可欠であり、それは自分なりに言葉で表すことや、相手の話していることの理解が求められます。そして【言葉】には「人の話を注意して聞き、相手に分かるように話す」という事が含まれています。
一般的に、言葉なくしてコミュニケーションは取れず、コミュニケーションなくして、人間関係は構築できません。
リンク「保育の5領域を徹底解説!ねらいと内容、遊びの具体例」保育士バンクHP
入学時の課題の中で、全体11項目で小学校教員の30%以上が課題と感じている7項目のうち、「人間関係の構築」、「人の話を静かに聞く」、「言葉(語彙)の少なさ」、「集中して授業を受ける」という、少なくとも4項目は【言葉】にかかわるものと考えます。
アンケート結果からも摂津市の5歳児の課題として【言葉】が挙げられるということになります。
左表は先ほどと同じ表ですが、特に課題になると感じていることについて、赤枠で囲みました。
それは「言葉(語彙)の少なさ」で、就学前施設職員が3.5%だったのに対して、小学校教員が34.9%と大きな差が生じています。
これは他の項目と比較して大きな乖離です。私はこの事とは、今の就学前施設職員の【言葉】・言語力というものへの意識の低さが垣間見えるのではと感じています。(ここは表現は難しいですが、能力として特段意識されていない、当たり前で意識されない、というべきでしょうか。)
例えば、園児がトイレに行きたい時、保育士に「おしっこ。」と言う子と、「トイレに行きたい。」と言う子の発言の違いは、園ではそれほど気にされないでしょう。
しかし、それが小学校1年生になると、「おしっこ。」と言う児童と、「お手洗いに行きたい。」と言う児童がいれば、教師は語彙力の差に気付くというものです。
これは児童間、児童と教師とのコミュニケーションにも影響し、そして学力にも影響します。小学校では言語力はテスト等も含めて様々な観点で測れ、そして比較できるため、一層の気付きとなるのでしょう。
また、「言葉(語彙)の少なさ」を小学校教員の34.9%が指摘することは、それだけ小学校1年生の児童間の差がよく見られるという事ではないでしょうか。つまり小学1年生で言語力の差があるということです。
この事は、【言葉】の課題解決への取組みと合わせて、就学前教育施設職員の言語力への意識を高める対策も求められると考えます。
Ⅴ 就学前教育実践手引きの改訂について
本市は今年度、「就学前教育実践手引き」について改訂作業を進めています。
その理由として既存の「就学前教育実践の手引き」は策定から既に10年が経過しており、子ども子育て支援新制度の創設、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の制定、認定こども園化の進展等、就学前教育を取り巻く環境が大きく変化していること、5歳時(幼児期)のカリキュラムと小学1年生(児童期)のカリキュラムを一体的に捉え、その充実・改善に資する「保幼小の架け橋プログラム事業」が一部自治体でモデル的にスタートしているためです。
改訂内容については、幼少連携の取り組みや接続期の保育の考え方、就学までに育って欲しい資質・能力のリスト化等に重点を置くというものです。
また「就学前教育に関するアンケート調査」の結果も参考に、幼少接続期の課題解消につなげるための手立てや方向性を示し、現場で活用できる冊子を目指すというものです。
私はこの改訂に際して、本市の課題を踏まえ特に【言葉】・「言語力」の向上を意識して取り組めるための文言や実践資料を掲載すべきと考えています。さきほどの語彙力課題の施設と学校の認識の乖離も埋める努力が必要です。これらは、コロナ禍でのマスク弊害の対応にもつながるものです。
先日の議会で課題解消につなげると、教育委員会が答弁しているように、本市の課題を解決できるものでなければ、改訂する意味はありません。その視点は強く持ってしっかりと議会から提言してまいります。
Ⅵ 小1スタートカリキュラムと就学前教育との連携について
言語力向上に向けた取り組みについては幼児教育の問題だけではありません。当然ながら小学校教育にも影響を及ぼします。
特に近年、文科省でも保幼小の連携の必要性が提言され、幼児期から学校教育において連続性・一貫性を確保することが求められています。
そのため、小学校1年生の入学時におけるスタートカリキュラムと就学前教育を連携させることが必要となります。
なお、小1スタートカリキュラムとは、小学校へ入学した子供が、幼稚園・保育所・認定こども園 などの遊びや生活を通した学びと 育ちを基礎として、主体的に自己を 発揮し、新しい学校生活を創り出していくためのカリキュラムのことです。
本市ではスタートカリキュラムが各学校の独自の裁量で行われています。それでは就学前教育も含めた本市課題を、正確に認識して対応することに限界があります。
そのため、私は教育委員会に対して、まずは教育委員会が本市の課題を分析し、就学前教育との連携も行い、見本となるスタートカリキュラムを作成すべきと議会で提言しています。
Ⅶ 議事録
上記の内容について、議会で質疑を行っています。
令和4年第2回定例会一般質問 ~本会議3日目 令和4年6月27日~ 議事録(抜粋)
6 就学前教育と小1スタートカリキュラムの連携の重要性について
○松本議員
就学前教育と小1スタートカリキュラムの連携の重要性について、まず就学前教育に関してですが、留意すべき事項があります。
それはマスクの弊害です。大人がマスクをすることで、幼児が話を聞く際に、口がどう動いているのかを見られず、言語能力の成長に悪影響を及ぼすと研究等で指摘されていますが、市はどう認識しているのかお聞かせください。
(略※)
○次世代育成部長
就学前教育におけるマスク着用への認識についてのご質問にお答えいたします。
未就学児のマスク着用をめぐっては、熱中症のリスクに加え、相手の表情が読みづらくなり、言語習得などの発達への影響が指摘されていることについては認識しております。言語習得を含め、様々な認知・非認知能力が育成される基礎となるこの時期に、保育教諭等や友達の口元が見えない、表情が読み取りにくいという状況は好ましくないと考えております。
このようなことも踏まえ、この5月20日付で、厚生労働省から、「マスク着用の考え方及び就学前児の取り扱いについて」という事務連絡が発出されており、その中では、基本的な感染対策としてのマスク着用の位置づけを変更するものではございませんが、2歳以上の就学前の子どもについては、マスク着用を一律には求めないとされております。
しかしながら、大阪府では、5月20日以降の1ヵ月で、1日平均の感染者数が1,661人ほどと依然多く、仮に子どもが感染した場合の濃厚接触者の取扱いに伴う施設運営へのリスクや保護者の不安等からも、本市の公立園では外遊びの際などに限ってマスクを外すこととしております。
今後も、国等からの通知や感染状況等も確認しつつ対応して参りたいと考えております。
(略※)
○松本議員
最後に就学前教育等についてですが、熱中症リスクも含めたマスクのデメリットについて理解しました。
今後、就学前教育での対応が求められます。言語能力の向上には特に留意すべきです。
さて、就学前教育実践の手引きの改訂についてですが、小学校等における教育との円滑な接続が重要となります。そして就学前施設等職員アンケートも踏まえた課題と、市としてあるべき姿を見据え、方向性を定めることが必要です。市として手引きの方向性と内容についてどうお考えかお聞かせください。
○南野議長
次世代育成部長。
○次世代育成部長
就学前教育実践の手引きの改定についてのご質問にお答えいたします。
本市の「就学前教育実践の手引き」は平成23年度に策定したものでございます。策定から既に10年が経過しており、その間に、子ども子育て支援新制度の創設、幼稚園教育要領、保育所保育指針の改訂、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の制定と、認定こども園化の進展等、就学前教育を取り巻く環境は大きく変化しております。
さらに、令和5年度には、子ども家庭庁の創設があり、文部科学省との連携強化も想定されております。そのような中、文部科学省の調査研究事業として、幼児期から児童期の発達を見通しつつ、5歳時(幼児期)のカリキュラムと小学1年生(児童期)のカリキュラムを一体的に捉え、その充実・改善に資する「保幼小の架け橋プログラム事業」が計19の自治体でモデル的にスタートしております。
したがって、改訂内容につきましては、市内公私立各就学前施設それぞれの狙いや取り組みを尊重しながらも、幼少連携の取り組みや接続期の保育の考え方、就学までに育って欲しい資質・能力のリスト化等に重点を置いた改訂にしたいと考えております。
小学校教員や就学前施設職員等を対象に実施した、就学前教育に関するアンケート調査の結果も参考に、現在、関係者等に個別にお聞きしている意見や助言等も踏まえ、幼少接続期の課題解消につなげるため、未来の摂津を担う子どもたちに必要な資質・能力が日々の保育の中で培うことができるよう、そのための手立てや方向性を示し、より現場で活用して頂ける冊子とすべく作成を進めて参ります。
○南野議長
松本議員。
○松本議員
方向性と内容の概要については理解しました。
私は、これらについては、課題を明らかにした資料、あるべき姿の方向性と本文、各園等での取り組みの実践資料が必要と考えます。しっかりと取組まれるよう要望致します。
そして文科省で推進される小学1年生のスタートカリキュラムについて、本市は各学校独自で進められています。このスタートカリキュラムは本市の課題等を踏まえ、教育委員会で一定まとめるべきですが、どうお考えかお聞かせください。
○南野議長
教育総務部長
○教育総務部長
就学前教育から小学校教育へ移行していくために、幼児期の学びの芽生えと児童期の知覚的な学びをつなぐスタートカリキュラムが重要であると認識しております。
教育委員会といたしまして、小学校1年生のスタート時に就学前教育と小学校教育との連携を視野に入れたカリキュラムを実践するため、市内小学校の取り組みなどを取り入れたスタートカリキュラムの作成について検討して参ります。
○南野議長
松本議員。
○松本議員
スタートカリキュラム作成を検討すると理解しました。是非取り組まれるよう要望致します。
そして今、保幼小の連携の必要性が指摘され、幼児期から学校教育において連続性・一貫性を確保することが重要と考えます。
それにはこのスタートカリキュラムと就学前教育を連携させることが必要ですが、どう考えかお聞かせください。
○南野議長
教育総務部長
○教育総務部長
教育委員会としましては、就学前教育と小学校教育との連携が重要であると捉えております。
連携していくための第一歩として、就学前教育と小学校教育それぞれの目的を共通理解することが重要であると考えております。就学前教育で積み上げてきたものを小学校教育に活かしていけるよう、それぞれの指導項目を整理し、子どもたちが安心して学校生活を送ることができるスタートカリキュラムを検討してまいります。
○南野議長
松本議員。
○松本議員
連携もしっかりと検討していくと理解しました。
私は本市の学力課題の解決として、特効薬は無いものの、やる気スイッチのキャリア教育、読書活動促進、そしてこの就学前教育を含めた保幼小連携等が重要で、それぞれを確実に取り組むことで、必ず成果を出すと考えます。
最後に、総括的に教育長の考えをお聞かせください。
○南野議長
教育長
○箸尾谷教育長
議員ご指摘の読書活動、キャリア教育、就学前教育と小学校との連携につきましては、教育委員会としましても重要課題と捉えまして、各課で取り組んでおるところでございます。
まず、読書活動については、以前、ご答弁申し上げたことがあると思うのですが、私は子ども達の学力の基礎になる力の一つとして想像力、イマジネーションがあると考えております。その理由としましては、小学校4年生以上になりますと、それまでとは異なり、抽象的な思考というのが、求められるようになります。この壁、いわゆる学習の壁を乗り越えるためには、目に見えないものを想像する力、即ち想像力が必要になると考えております。
そしてその想像力を鍛える手段の一つとして、私は読書が有効ではないかと考えております。発達段階に依りますけども絵本とか漫画ではなく、文章、文字の情報から膨らませて考える。そういった力、読書が効果的であると考えております。
そういうことで教育委員会としましては、この度、市立図書館に電子図書の導入も図ってまいりますけども、それに合わせて学校図書館の活動をより一層充実させて、子ども達の読書活動の推進に努めてまいりたいと思います。
次にキャリア教育についてですけど、キャリア教育につきまして本市ではこれまでから学力向上に向けましては、主に教員の指導力向上とかあるいは、授業規律の確立、といった形で取り組みを進めてまいりまして、一定成果を上げてきたと考えております。
さらなる学力向上の為には、やはり子ども達の「なぜ学校で勉強せなあかんのか?」、「学校で勉強したことが役に立つのか?」といった素朴な疑問に対して、一定答えを与えることで子ども達自身がもっと主体的に学習に取り組んでいく、そういった姿勢をですね、育成することが大事だと考えております。
そこで本市では、子ども達が学んだ内容を実際に使うという場面を設定して、子ども達が、学びが役に立つんだということが実感できる取組みとして、さきほどもありましたキャリア教育、即ち、職種体験プログラムというのを全中学校で取り組んでおります。
この職種体験プログラムというのは、参加して頂いている企業の担当者の方に学校へお越し頂きまして、場合によっては、ZOOM等で行われる場合もありますが、その担当者の方からそれぞれの企業固有の課題を子ども達に提出して頂きます。それに対して子ども達が今まで学んだことであるとか、あるいは自分自身が新たにインターネットや図書館等で調べた内容を使って、解決策を考える。その解決策に対して、今度はその企業の担当者の方が、また色々と助言を頂く中で、ブラシュアップをしていくというような取組みでございます。
教員以外、これ昨年度も取り組んできたんですけども、その成果としては、やはり教員以外の大人とそういう形でコミュニケーションを取るというのは、子ども達にとって新しい経験であり、適度な緊張感を持ちながら社会とつながっているということも実感できるし、また先ほど申し上げたように、学んだことが役に立つ、そういう経験につながっているというふうに考えております。
最後に、就学前教育と小学校教育の連携につきましては、これまでから小1プロブレム等の課題も様々言われておりますので、教育委員会としても大切なものと考えております。
先ほど、担当部長がご説明いたしましたけれども、教育委員会としてはこの連携が形式的なものに終わってしまわぬように、義務教育開始前後の5歳児、小学校1年生の接続の2年間に着目しまして、スタートカリキュラムの策定を検討するとともに、就学前の実践の手引きの中に、そのスタートカリキュラムの一部を取り込むといったようなことを検討してきたら考えております。
今後もですね、以上のような施策を教育委員会が一体となって、取り組む事で、子ども達の健全な育成を支援してまいりたいと考えております。以上です。
○南野議長
松本議員。
○松本議員
ありがとうございます。
本市の学力課題の解決に向けて、子ども達の生きる力を育むために是非、就学前教育から小学校、そして中学校も含めた一貫した教育をしっかりと取り組まれるよう引き続き要望致します。
(音声データ等より作成)
重要と思われる部分には強調を入れています。
※当該質問に関係のない他の質問項目の部分は省略しています。
Ⅷ まとめ
子どもの学力は幼児期の取組み次第。
当然ながら、小学校教育、中学校教育での頑張りもありますが、小1の時点で差が生じた時点で、ハンディキャップを背負ってしまってはそれを取り返すだけで相当な努力が必要でしょう。勿体無い。
本市の学力課題の解決の一つはまさに就学前教育、幼児教育にかかっています。
私は議会の質疑で、「本市の学力課題の解決として、特効薬は無いものの、やる気スイッチのキャリア教育、読書活動促進、そしてこの就学前教育を含めた保幼小連携等が重要で、それぞれを確実に取り組むことで、必ず成果を出すと考えます。」と述べました。
「学習意欲向上への取組み」や「読書活動促進」はこれまでしっかりと議会で取り上げ、着実に取り組みを進めています。
就学前教育の取組みも着実に進めなければなりません。特に言語力向上にはしっかりと力を入れて提言し、そして「就学前教育実践の手引きの改訂」と「小1スタートカリキュラムの作成」についてより良いものが実現できるよう取り組んで参ります。
Ⅸ 関連リンク