Ⅰ はじめに
昨年から進められていた健都イノベーションパークでの吹田市との給食センター共同構想は2022年7月に解消となりました。
教育委員会は改めて給食センター用地選定を健都イノベーションパーク以外での市保有地で、進めるとしています。その取組み状況について、また現状の選択制給食の向上等について、議会で取り上げました。
Ⅱ 吹田市との共同構想の解消
令和3年8月に吹田市から、健都イノベーションパークでの中学校給食共同実施(給食センター建設・運営)について摂津市に提案があり、両市で検討を重ねてきました。このことは私も令和3年12月議会の一般質問(議事録)にて取り上げています。
結果としては、令和4年7月に、給食センターの運用面や財政面などの様々な課題が明らかになり、課題解決には相当な時間を要すること、また、共同実施を行う上で最も肝要である中学校給食に関するコンセプトにおいて、本市が中学校給食を市の管理下で実施を検討していることに対し、吹田市は民設民営で検討していることなど、両市の考え方に大きな相違があったため、協議の結果、共同実施は解消されました。
そのため本市では健都イノベーションパークでの建設を諦めました。なお現状、吹田市ではイノベーションパーク・吹田市域側での単独建設を検討しているそうです。
Ⅲ 今後の給食センター用地選定の取組み
教育委員会は、吹田市との共同実施を断念したことを受け、健都イノベーションパーク以外での用地選定を進めていくとしています。給食センター単独では、健都イノベーションパークで建設できる要件は満たせないからです。もし研究施設等と複合化するならば建設費用は増大し、摂津市の財政では困難でしょう。
ただ給食センターは、工場扱いとなるため建設できる用途地域が限定されています。それでも教育委員会は、新たな土地の購入を検討するのではなく、当面は現市保有地の活用を第一に検討を進めるとしています。
用地選定についてはこれまで担当部署と幾度となく話をしていますが、難しく、現状、直ぐに建設できるような真っ平らな土地はありません。吹田市との共同構想の協議に応じたのも、そういった事情があります。
(写真 京都市立醍醐中学校体育館・テニスコート複合施設 出典:株式会社 長村組HP )
私が教育委員会に提案しているのが、施設機能の複合化です。
上記写真は、京都市立醍醐中学校体育館ですが、屋上にテニスコート機能を有しています。これは一例ではありますが、限られた市保有地においては、このような工夫が求められるでしょう。
具体的には、スポーツ施設・公園機能を給食センター屋上に移設する等で空間を活かし、そして有事には緊急避難場所とするなどの創意工夫が必要です。
それが難しいのであれば、新たな土地の購入しか手段はないのではと思います。
議会において、施設機能の複合化など、幅広く可能性を検討し早期の選定を要望しました。
Ⅳ 議事録
上記の内容についての9月議会での質疑になります。
3 中学校給食の現状と給食センター用地選定等の取組みについて
令和4年第3回定例会一般質問 ~本会議2日目 令和4年9月22日~ 議事録(抜粋)
○松本議員
中学校給食の現状と給食センター用地選定等の取組みについて、給食センターを吹田市と共同実施をしないという結論に至った経緯について、お聞かせください。
(略※)
○南野議長
教育総務部長
○教育総務部長
「吹田市と中学校給食を共同実施しないと言う結論に至った経緯」についてのご質問にお答えいたします。
令和3年8月に吹田市から健都での中学校給食共同実施についてご提案があり、両市で検討を重ねて参りました。
その結果、運用面や財政面などの様々な課題が明らかになり、課題解決には相当な時間を要すること、また、共同実施を行う上で最も肝要である中学校給食に関するコンセプトにおいて、本市が中学校給食を市の管理下で実施を検討していることに対し、吹田市は民設民営で検討されていることなど、両市の考え方に大きな相違があったため、協議の結果、共同実施を断念せざるを得ないと判断したものでございます。
(略※)
○松本議員
次に、中学校給食について、吹田市とはコンセプトの時点で相違があったということで理解しました。生徒のためにしっかりと検討されたと思いますが、時間はその分費やされています。
改めて、センター用地選定の状況をお聞かせください。
○南野議長
教育総務部長
○教育総務部長
吹田市との共同実施を断念したことを受け、引き続き健都イノベーションパーク以外での用地選定を進めていく必要がございます。
給食センターにつきましては、工場扱いとなるため、建設できる用途地域は限定されますが、新たに土地の購入を検討するのではなく、まずは現市保有地の活用を第一に検討進めております。
○南野議長
松本議員。
○松本議員
用地選定の方向性は理解しました。
限られた市保有地では、施設機能の複合など工夫が必要と考えます。例えばスポーツ施設・公園機能をセンター屋上に移設する等で空間を活かし、有事には緊急避難場所とする。幅広く可能性を検討し早期の選定を要望致します。
またセンターは時間がかかる為、現在の中学校給食の取組みも大切です。現状についてどのようなものかお聞かせください。
○南野議長
教育総務部長
○教育総務部長
中学校給食のデリバリー方式選択制につきましては、平成27年度6月から実施しており、現行契約は令和5年度末までとなっております。
喫食率といたしましては、令和元年度に5.0%、令和2年度に6.1%、令和3年度には6.5%と毎年少しずつではございますが増加しており、令和4年度の1学期時点では6.9%となっております。学校別では、喫食率の高い学校では目標喫食率の10%を超えた13.2%という喫食率の学校もある一方、喫食率の低い学校では2.5%という喫食率の学校もある状況でございます。
○南野議長
松本議員。
○松本議員
現状は理解しました。
喫食率向上には、入学した最初の時期に、無料喫食日を設けて、給食に触れさせる、選択制給食への親しみを増やす工夫も良いのではないでしょうか。
現状での更なる創意工夫も要望致します。
(以上)
(音声データ等より作成)
重要と思われる部分には強調を入れています。
※当該質問に関係のない他の質問項目の部分は省略しています。
Ⅴ まとめ
中学校給食の全員喫食のニーズは高いものと認識しています。市民の方からも要望を受けております。そのため、少しでも早く給食センター方式での全員喫食を実現しなければなりません。
そしてセンター方式での実現への道のりの中で、ハードルが高い用地選定は難しい課題です。そのため、選択肢を広く持って、様々な可能性を視野に入れるよう教育委員会へ提言しています。
また、現状の取組み向上も大切です。
現状の中学校給食のデリバリー方式選択制は、平成27年度6月から実施しており、現行契約は令和5年度末までとなっています。センターができるまでは、いずれにしても現行方式は維持されます。
現状の喫食率は、令和元年度に5.0%、令和2年度に6.1%、令和3年度には6.5%と毎年少しずつ増加しており、令和4年度の1学期時点では6.9%となっています。
私が提案した、子ども達が喜ぶメニューを多く取り入れるなどの工夫が効果を発揮しているとのことです。
ただ、目標喫食率の10%を超えた13.2%という喫食率の学校もある一方、喫食率の低い学校では2.5%という喫食率の学校もある状況です。
そのため喫食率向上へ、入学した最初の時期に、無料喫食日を設けて、給食に触れさせる、選択制給食への親しみを増やす工夫も良いのではと議会で提言しました。
現状での中学校給食の向上へ更なる創意工夫も進めて参ります。
◎追記(2023/5/26)
鶴野地域における公共施設再編について
市は現在、鶴野第2公園において、中学校給食のための給食センターを設置し、中学生全員が給食を喫食できることをめざしています。
また、茨木市との広域処理が4月以降始まり、鶴野にある環境センターは廃炉・解体をする予定で、同センターの跡地活用としては、盛土を行った上で、鶴野第2公園を移設し、防災の視点や市民の皆様のお声を取り入れた新たな公園へリニューアルする予定としています。(市HP「鶴野地域における公共施設再編について」より引用)
但し、まだ構想の段階です。
今後、住民への説明、議会への説明等々と議論が重ねられます。
出典 摂津市HP「鶴野地域における公共施設再編について」pdf
◎追記(2023/6/3)
出典 摂津市HP「鶴野地域における公共施設再編 Q&A 」pdf
当該HPは6月2日に更新され、「鶴野地域における公共施設再編 住民説明会等での質問・意見等に係る回答一覧」がUPされました。その内容は上記写真とリンクの通りです。
3月下旬に行われた住民説明会での質問への回答がまとめられたものです。ご参照下さい。
◎追記(2024/3/12)
令和6年2月26日(月)から同年3月26日(火)にかけて、「摂津市学校給食センターに係る基本構想・基本計画」を策定するにあたり、市は(案)についてパブリックコメントを実施しています。
【「摂津市学校給食センターに係る基本構想・基本計画(案)」への意見公募】
この計画(案)においては、これまで建設候補地であった鶴野第二公園を正式に給食センターの建設予定地とするものです。
上記の図は、「摂津市学校給食センターに係る基本構想・基本計画(案)」から引用したもので、建設予定地と施設配置図を示したものになります。教育委員会は様々に検討した結果、鶴野第2公園が適当であると判断しました。
これまでの住民説明会の意見等を踏まえ、計画(案)においては、車両の搬出入路は北側の川沿い一本に絞り、施設北側には植栽を配置する等を予定しています。
詳細については引き続き、地元住民との意見交換や議会対応等も踏まて検討していく事となります。
なお、今後のスケジュール※については、
◎令和6年度:給食センターの基本設計・実施設計
◎令和7年度:厨房機器の選定、工事着手
◎令和8年度:施設完成、3学期(2027年1月)から中学校給食 全員喫食 開始
という流れとなっています。(※2024年第1回定例会・代表質問答弁より)
給食センター以外の、環境センターの解体と環境センター跡地に整備される公園についても準備が進められています。
そのスケジュール※は以下の通りです。
◎環境センターの解体
・令和6年度:土壌汚染深度調査、解体工事発注仕様書の作成
・令和7年度:解体工事発注仕様書の作成
・令和8年度:解体開始
◎環境センターの解体跡地の公園(高台公園)
・令和6年度:都市計画の変更手続き、鶴野第二公園のキャンプ場機能の一時的な代替施設を平和公園に整備
・令和8年度:地元住民とのワークショップ
・令和9年度:実施設計
・令和10年度:2ヵ年かけて整備工事
(※2024年第1回定例会・代表質問答弁より)
◎追記(2024/4/30)
パブリックコメント期間を終え、教育委員会は「摂津市学校給食センターに係る基本構想・基本計画」を策定しました。
現時点ではこの基本計画に沿って事業が進められます。
私は、給食センター地の桜の植樹等の憩い空間や、通路のガラス張りによる見学可能な施設にする等の要望をしています。
これから給食センターの基本設計・実施設計となります。様々な意見も考慮しつつ、中学校全員喫食の実現に向けて進みます。
Ⅵ 関連リンク