Ⅰ はじめに
これまでの議会で、市は災害対策本部訓練について実施する旨を本議会で答弁しているが、2021年度から今に至るまで災害対策本部訓練をしていません。
適切なリスクマネジメントが行われているか疑義が生じるとともに、議会答弁の信頼性も含めこれは大変問題であると考え、訓練の意義も踏まえ実施すべきではないかとしてR5年6月議会にて、質疑を行いました。
Ⅱ 議事録
令和5年第2回定例会一般質問
~本会議3日目・令和5年6月27日~ 議事録(抜粋)
3 市が災害対策本部訓練等を実施しないことの妥当性について
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○松本議員
3 市が災害対策本部訓練等を実施しないことの妥当性について、昨年3月の代表質問や予算審議、昨年9月議会で、市は災害対策本部訓練について「毎年継続して訓練することが大変重要である」や「今年度末までには、対策本部訓練を実施したい。」と議会答弁していますが、2021年度から今に至るまで災害対策本部訓練をしていません。議会答弁の信頼性も含めこれは大変問題であると考え、訓練の意義も踏まえ質疑をしてまいります。
まず、地震や水害が全国各地で頻発していますが、本市で想定される災害はどのようなものかお聞かせ下さい。
(略※)
○福住議長
総務部理事
○総務部理事
本市で発生する可能性のある災害は、市の自然的条件や社会的条件を踏まえ、「地震災害」、「風水害」等を想定しております。
なお、地震につきましては、上町断層帯地震を含む4つの内陸直下型地震及び海溝型地震である南海トラフ巨大地震を想定しており、外水氾濫につきましては、淀川、安威川、山田川、正雀川、大正川、境川の6つの河川を想定しております。
(略※)
○松本議員
次に災害対策本部訓練について、様々な災害が想定されています。
さて市の防災危機管理担当部署の最大の目的は、そのような災害において市民の命を守る事、被害を最小限化することと思いますが、市の見解をお聞かせ下さい。合わせて防災危機管理課の事務分掌についてもお聞かせ下さい。
○福住議長
総務部理事
○総務部理事
防災危機管理課が市の防災政策を推進する最大の目的は、議員ご指摘の通り、様々な災害、事故等による被害を最小限にとどめることと認識しております。
また、防災施策に関わる事務分掌につきましては、「災害対策の総合調整に関すること」、「防災会議及び災害対策本部会議に関すること」、「防災計画及び防災関係機関との連絡調整に関すること」、「防災訓練に関すること」、「避難誘導に関すること」、「防災行政無線の管理運用に関すること」と規定しております。
○福住議長
松本議員。
○松本議員
被害最小限化と事務分掌は分かりました。危機管理部署は市民の命を守るため災害対策の総合調整、災害対策本部など有事での業務・リスクマネジメントが課せられています。
そのため地域防災計画や各種マニュアル作成は勿論のこと、有事での円滑な活動を果たすべく訓練を同時並行的に進める必要があります。理由は、災害はいつ起きるか分からず、計画完成を待ってくれるものではないことと、計画は紙であり、実際に行動する為に訓練し検証する必要があるからです。
そこで危機管理部署が訓練をすることの意義について、市の見解をお聞かせ下さい。
○福住議長
総務部理事
○総務部理事
防災訓練を実施する意義につきましては、訓練を通じて応急対策業務の手順を確認するとともに、必要に応じて改善を図ることで、災害時において迅速かつ的確な対応を確実に実施できるようにためのものであり、非常に重要であると認識しております。
また、職員の防災意識を高めていく機会にもなるため、大きな意義があると認識しております。
○福住議長
松本議員。
○松本議員
大きな意義がありますね。
さて、消防にもお聞きします。消防はなぜ訓練をするか。その理由・意義、そして訓練をしなかったらどうなるのか、お聞かせ下さい。
○福住議長
消防長
○消防長
まず、消防本部において、各種の訓練を継続して実施する目的につきましては、いつ発生するかわからない火災をはじめとする各種災害への備えとして、職員個々の災害対応能力や状況判断能力を向上させることに加え、緊急事態への対応の際、冷静な判断・迅速な行動・的確な活動を身に付けるために実施しているものでございます。
また、我々消防職員は、「隊」として複数の隊員が連携して、なおかつ、統一した活動を実施する必要ございますため、消防本部内の「警備規定」や「消防計画」等に紐付く訓練マニュアルに基づき訓練を重ねているものでございます。
特に、過酷な災害現場においては、言葉すら通じないような状況下で活動することも想定する必要があり、それぞれ隊員同士が通じ合うような連携性を築くことで、自身の安全を確保した上で、市民の生命・身体・財産を守ることができるものであると確信し、日々の訓練を実施しているものでございます。
このように、訓練を継続して実施していることで、日を追うごとに活動の連携が目に見える形で現れて参りますが、基本的な訓練を中断することで、途端に連携が崩れ、様々な事故につながることも事実でございます。
我々消防隊員の訓練につきましては、途絶えることがないように継続実施することが重要であると考えております。
○福住議長
松本議員。
○松本議員
消防の訓練の意義は理解しました。
これは消防だけではなく自衛隊、警察など危機管理に係る組織は特に訓練の継続は当然視されています。
さて、本市も被害が出た2018年の大阪北部地震では、教訓が作成されました。当然、危機管理担当職員になれば真っ先に確認すべきものですが、どうされているのか。
また、教訓には訓練の必要性が多々記載されているが、どう認識されているのか、合わせてお聞かせ下さい。
○福住議長
総務部理事
○総務部理事
大阪北部地震を振り返っての検証報告につきましては、市の被害状況を整理し、対応状況を検証することで、今後の課題を明らかにすることを目的に作成しており、今後の教訓として活用していくこととしております。そのため、私自身も内容確認しており、本年4月に新たに配属となった職員も確認しております。
本報告書では、応急対策マニュアルの整備や改善、民間事業者等の協定締結、避難所開設訓練の実施、情報伝達訓練の実施等の重要性が教訓として指摘されております。
このうち、避難所開設訓練については、近年新型コロナウィルス感染症の影響でほとんど実施できていませんでしたが、令和4年度は実施することができました。
訓練の重要性も含め、大阪北部地震を振り返った報告書の教訓は、今後ともしっかりと活かしていきたいと考えております。
○福住議長
松本議員。
○松本議員
答弁の通り、その教訓は実際に起きたことを踏まえており、訓練の必要性が明確に記載されています。
さて訓練は様々ですが、市の危機管理部署においては、突然の災害に迅速に初動体制を取り、円滑に災害対策業務に移行するための訓練が、特に必要と考えますが、市の見解をお聞かせ下さい。
○福住議長
総務部理事
○総務部理事
議員ご指摘の通り、突然の災害にも迅速な初動体制を取り、円滑に災害の応急対策業務に遂行するためには、繰り返し訓練を実施するとともに、改善を積み重ねていくことが、重要であると認識しております。
○福住議長
松本議員。
○松本議員
では重要性を認識しているにも拘わらず、2年以上市が災害対策本部訓練を実施しない理由についてお聞かせ下さい。
合わせて、もし明日、南海トラフ地震が起きた際、既存の計画通りに完璧に災害対策本部を設置し災害対策業務を行えますか。適切に初動体制が取れますか。根拠も踏まえて、お聞かせ下さい。
○福住議長
総務部理事
○総務部理事
令和3年度は、各部署の協力のもと、訓練実施の準備を進めておりましたが、業務改善計画を作成していた時に、非常時優先業務を実施するための職員の確保が困難であることが分かったことから、抜本的な職員配置計画の修正が必要となりました。さらに、非常時優先業務を実施するための各班の応急対策マニュアルの作成が複数の業務で未整備であることも確認されたため、一旦訓練を中止させていただくことといたしました。
令和4年度につきましては、これらの課題の整理を進めておりましたが、地域防災計画の改定を検討する中で、応急対策業務を担う班体制の再編についても検討しなければならなくなり、実施に至らなかったものでございます。
もしも今、災害が発生した場合は、平成31年2月に作成した「災害初動マニュアル」に基づいて、初動体制が組まれることとなります。
検証できている訳ではありませんが、このマニュアルの課題については十分認識しており、内包している課題を逐次解消しながら、防災危機管理課が中心となって、しっかりと初動体制を構築します。
議員のご質問にもありました、計画ができてから災害が発生するわけではございませんので、今年度は、早急に課題を整理した上で、地域防災計画を改訂し、併せて応急対策マニアルについても整備しつつ、早期の訓練を実施できるよう努めてまいります。
○福住議長
松本議員。
○松本議員
初動体制が適切に取れるか検証されていないとのことですが、意気込みで済む業務ではありません。現状の危機管理部署は、平時の業務をこなすこと、計画を作ることが目的化していませんか。自らの教訓をなぜ活かさないのですか。
明日、災害が起きたとき、初動の遅れで市民の被害拡大につながる可能性は否定できず、リスクマネジメントを適切に行っているとは言い難い状況です。訓練をすることは市民の命を守ることです。
以上を踏まえ、市として災害対策本部訓練を毎年実施すべきですが、市の見解をお聞かせ下さい。
○福住議長
総務部理事
○総務部理事
過去2年間、災害対策本部訓練が実施できませんでした事は大変申し訳ございませんでした。
現在まで、課題整理等で時間がかかっておりますが、一日も早い市の防災体制の強化のため、課題解決の検討を優先的にさせていただいております。
今年度中に様々な課題を整理した上で、訓練できる部分からでも、しっかりと訓練させていただきたいと考えております。
○福住議長
松本議員。
○松本議員
市民の命を守るために、訓練は必ず行い、有事に適切に動けるのか、議会に、市民に根拠を見せるようお願い致します。
さて、福渡副市長にお聞きします。
市が災害対策本部訓練を実施しないことは妥当ではありせん。それにも関わらず数年もされないことは担当云々でなく、トップ方の責任が大きいと考えます。
このことは安全安心のまちづくりへの信頼を大きく損なうものと考えますが、危機管理の事務方トップとしてどうお考えでしょうか。
またこれまで議会答弁で必要性を認識し検討すると言いながらずっとしてこなかったことについて、議会答弁の信頼を行政自ら損なっていると思いますが、その点のお考えも合わせてお聞かせ下さい。
○福住議長
福渡副市長
○福渡副市長
防災担当の副市長としてお答えいたします。前回の震災総合訓練の実施から、結果的に2年間実施できていなかった事は、大変、遺憾であると考えております。
近年、全国的に災害が激甚化、頻発化しております。
だからこそ、議員のご質問でも触れられておりました通り、防災訓練はより実践的で効果的な内容として、検証と改善を重ねていかなければならないというふうに考えております。
しかし、現行の、さきほど担当理事からもご指摘頂きましたけども、現行の初動マニュアルをベースにした場合はまだ適切な初動体制が取れるかどうか非常に不明なところがございます。そのため今の段階でやると訓練をすることが目的と、することが目的ということになってしまう恐れがあったということもあり、危機管理の事務方トップとしては、現行マニュアルに内包してある課題の整理について、まず、優先的に実施すべきであるというふうに指示させて頂きました。
防災訓練を通じまして災害時の迅速かつ的確な対応を確実にし、防災意識の定着、災害対応の改善を図っていく事は当然でございます。市民や事業者の皆様の安全安心を守ることにも当然つながっていくと考えております。
議会答弁で、お約束したにもかかわらず、実際には訓練が実施できていないことは、大変申し訳ないと考えております。
ただ、事務方としては、何もやっていないと言うことではなく、より強固な防災体制を構築できるよう日々努力をしてございますので、その点はご理解いただきたいと思います。
○福住議長
松本議員。
○松本議員
努力は理解いたします。しかしながら、市民に必要なのは適切なリスクマネジメントです。危機管理業務の優先順位・要領を抜本的に見直し、責任持って訓練させるよう要望致します。日々訓練している消防とも協力して頂ければと思います。
また議会答弁に関しては、議会の信頼を損なうだけでなく議会答弁を頑張って実行しようと努力される他理事者へも影響を及ぼします。改善されるよう要望致します。
市長に最後に総括的にお聞きします。また今後はどうされるのか、お考えをお聞かせ下さい。
○福住議長
市長
○市長
(略)
○福住議長
松本議員。
○松本議員
市長、市民とそして職員は見ております。しっかりと魂を入れられるよう、頑張っている職員の努力がしっかりと報われ、そして評価されるよう指導し、自ら率先行動して信頼回復されるよう強く要望致します。
(以上)
(音声データ等より作成)
重要と思われる部分には強調を入れています。
※当該質問に関係のない他の質問項目の部分は省略しています。
Ⅲ まとめ
市が災害対策本部訓練を実施しないことは妥当ではありせん。
この質疑は大変残念なものです。せっかく市の危機管理組織を強化したにもかかわらず、職員の意識が変わらなければ意味が無い事を改めて認識することとなりました。
私は自衛官の時に訓練を繰り返していました。いざという時に活躍できなければ意味がありません。また国民、そして部下の命を危険に晒しかねません。
危機管理部署の役割とは何か、危機管理とは何か、市の意識をしっかりと変えていく取り組みを継続して行って参ります。
追記 2023.8.1
口頭のやり取りだけでは真意は伝わらないので、イメージ図を作成しました。
これを参考に今後も危機管理に関して質疑していきます。
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