Ⅰ はじめに
摂津市内の藤森学園とKENTOひまわり園で、ボランティアで園児達に「漢字遊び」されている市民の方から、摂津市の就学前教育の向上のために活用してもらいたいと漢字遊びアンケート結果を頂戴しました。
質問4の「語彙力は高まったと思いますか」の回答で、「高まった」、「やや高まった」が59%でした。月1回の漢字遊びでも成果が出ていることが確認されたと考えます。
就学前の子ども達の語彙力向上の取組みの更なる発展が期待されます。
Ⅱ アンケート調査について
アンケート調査の理由としては、藤森学園とKENTOひまわり園で昨年の4月から月一回のペースで行っている語彙力向上の取組み「漢字遊び」に関して、摂津市の子ども達の語彙力向上に繋がる活動の参考とするためです。
両園の園長先生のご協力も頂き、漢字遊びを行っているクラスの合計46人の子ども達の保護者に対し、アンケート調査(期間:2023年12月下旬~2024年1月中旬)を行い 17人の保護者から回答を得たとのことです。(回収率 37%)
下記写真はアンケート調査用紙です。
Ⅲ アンケート結果
アンケート調査の回答は以下の通りです。
(概要)
(詳細)
漢字遊びアンケート結果(2024.1.23)
【3の回答で①、②を選択された方は宜しければ理由をお教えてください。】
①日常生活の中で漢字の読み方・書き方を聞かれるから
②好きな野球選手の名前にちなんだ漢字などをきっかけに興味をもって覚えていっています
➂子供が街中などで漢字を見て「これ**って読むんやろ!?」や「この漢字なんて読むん?」という発言をするようになったからです。
④知っている漢字があると教えてくれる
⑤知っている漢字を見つけると喜ぶから。
⑥元々、漢字には興味があり、読み方を聞かれることも多かったのですが、知らない間に読める漢字が増えていて、読めることが楽しいようです。
⑦漢字の読み方を尋ねてくるようになった。書きたがるようになった。本を積極的に読むようになった等
⑧本や身近にあるもの(お菓子の袋など)を見て、これってさー「○○」って読む?とよく聞いてくる(そして大体合っています。)
【4の回答で①、②を選択された方は、宜しければその理由を教えてください。】
①自分や家族の名前を漢字で書けるようになったり、読める漢字が増えたため
②自分から練習して書けたり、看板を見たり漢字を見つけると指をさして読んだり楽しみながら勉強しているため
➂読める漢字が増えた
④漢字が、というわけではないのですが語彙力は高まっていると感じます。
⑤3の回答と同じ。テレビの字幕の漢字もすらすら読めることがあるから。
⑥3の回答と同じ。
⑦漢字に限らずだが、家ではほぼずっと喋っているし、長文もあーっと話したりするため、語彙力の高まりは非常に感じています。
【その他】
①音読
6.漢字遊びへの感想や意見・ご希望などがあればお聞かせ下さい。
①子供たちが楽しく学べる機会をつくってくださりありがとうございます。
②現時点では分からない面が多く、小学校に上がってから呑み込みが早くなるのか気になります。
➂小さいうちから漢字に慣れ親しんでいるのは良い取り組みだと思います。漢字が難しいもの、とならない為にも漢字を身近に感じることは必要かなと思いました。
④色々な経験をさせて頂きありがとうございます
⑤子どもから漢字を教えてもらっていると薄っすらと聞いていましたが、このお便りで、詳しく知り、とても参考になりました。ボランティアで来てくださっているのとのことで貴重な機会をありがとうございます!
【項目回答の関連性を確認】
Ⅳ アンケート結果の考察等について
1.漢字遊びアンケート結果や漢字遊びに関する所見について
漢字遊びをしているKENTOひまわり園と藤森学園の両園長先生に、アンケート結果についてや漢字遊びに関する所見を頂きました。紹介させて頂きます。
【KENTOひまわり園 園長】
~漢字遊びの取り組みについて、家庭へのアンケートを実施した結果から~
漢字遊びの取り組みは、子どもが、楽しいと感じられる保育活動や生活の中で自然に漢字に興味を持ち、語彙力に繋げることが目的ですが、目的や活動内容について家庭へ情報発信することで、保護者が語彙力向上について認識し、家庭においても推進されることが効果的かつ重要であると思いました。
アンケートを実施したことで、来年度の漢字遊びの取り組み目的が明確になったものと考えます。(写真は漢字カルタ遊び)
【藤森学園 園長】
~漢字遊びについての考察~
月1回の「漢字あそび」を約1年経験した就学前の時点で、ホワイトボードに次々に書かれる漢字を即座に声に出して読む子供達の姿が見られるようになりました。
5歳児クラスになったばかりの4月の時点では子供達にとって「漢字」に対して馴染みが無い状態であり、ホワイトボードに書かれても当然殆ど読めなかった「文字」が、視覚的な漢字遊びを通じて「漢字」に親しんでいくうちに、多くの子供に変化がみられてきたと感じます。
卒園後は小学校へ進学し様々な勉強(学び)が始まりますが、どの教科においても教科書や関連した書籍を読めないと理解が進みません。その最初の関門である「漢字」をいち早く読めるようになることは、子供達の今後の全ての学びにおいて有益であると考えます。
「漢字を学ぶ」=「漢字を教える」のではなく「漢字で学ぶ」=「漢字を通して〔学ぶこと〕を教える」という概念のもと、子供達が自発的に漢字を読めるようになり、結果として語彙力が高まり、更に各々が好奇心を持って学びを進めてくれることを期待し、今後も保育の中に「漢字遊び」を取り入れて子供達の今後の学びの一助にしたいと思います。
(写真は漢字カルタ遊び)
2.漢字遊びアンケート結果について私の考察
1.質問2より、漢字遊びの語彙力向上という目的が知られていないことが分かりました。反対にこの目的を知っている方は家庭内でも語彙力を高める取り組みをされています。
漢字遊びの目的をしっかりと保護者方に周知することが、家庭内での取組み推進も含めて必要ではないかと考えます。
2.質問4の語彙力は高まったと思いますかの回答で、「高まった」、「やや高まった」が59%でした。またそのうち質問5で家庭内の取組みをしていない方(2名)も肯定の回答であり、月1回の漢字遊びでも成果が出ることが確認されました。
今後も少なくとも月1回のペースで成果は出るものと考えます。
3.質問3・質問4で「分からない」という回答がいずれも41%で、子ども達の成長に差が生じていることが考えられます。この「分からない」という状況を改善することも必要です。
ただ保護者が気付いてない場合もあり、その対応も求められます。例えば、子ども達に帰ったら保護者に今日の知った漢字を伝えよう等の声掛けをしてみるとかです。
4.質問3「子どもが漢字に興味を持つ」の肯定的回答と質問4「語彙力(漢字)が高まった」という肯定的回答がほぼ一致しています。興味を持たせることが大事であると考えます。
5.質問5の語彙力向上の取組みでは、漢字絵本の活用は0件で、効果が高いことを踏まえ、活用してもらうべく周知が必要と考えます。
6.質問6の自由意見では、否定的な内容は無く、5件ともに肯定的で漢字への拒否反応は特に感じ取れないです。
よって保護者方の漢字遊びへの理解は一定得られているものと考えます。
Ⅴ まとめ
まずもって、ボランティアで漢字遊びを子ども達に教えて頂いている市民の方には敬意を表する次第です。そして市の就学前教育の向上のためにとアンケート結果を提供して頂いたことにも感謝申し上げます。
本当に素晴らしいですね。
アンケート結果からも本市の課題の一つである就学前の子ども達の語彙の少なさに関して、子ども達の語彙力向上に貢献されていることが分かります。
何度も取り上げていますが、子どもの豊かな語彙力はその後の人生を豊かにします。
アンケート結果を踏まえて更なる発展に期待するものです。勿論、私もご協力させて頂きたいと思います。
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