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摂津市議会での「選択的夫婦別姓の速やかな実施を国に求める意見書」を巡る議論について


Ⅰ はじめに

 

 令和6年12月20日、摂津市議会令和6年第4回定例会にて、「選択的夫婦別姓の速やかな実施を国に求める意見書」が賛成多数で可決されました。

 

 私が所属する自民党・市民の会は、同意見書については、拙速な実施は現状の課題だけでなく、予期していない課題も顕在化し、社会を混乱させるだけである、もっと議論すべきだ反対しました。

 

 詳細は以下の通りです。

 

 


Ⅱ 意見書について

上記が、本会議で可決された意見書です。

 

 摂津市議会令和6年第4回定例会「選択的夫婦別姓の速やかな実施を国に求める意見書

 議決日 令和6年12月20日・「意見書・決議

 

 同意見書は本会議で可決に関して賛否が取られ、

 

 〇 賛成:日本共産党、公明党、大阪維新の会、民主市民連合

 

 × 反対:私どもの「自民党・市民の会」のみ

 

 (摂津市議会 会派構成

 

となり、賛成13名、反対2名で賛成多数で可決されました。(欠員3名と議長除く)

 

 私の所属する「自民党・市民の会」は意見書に反対しました。

 

 まずもって、議論を行うこと自体には反対はありません。

 

 しかしながら、この意見書に記載される「速やかな実施」に関しては、そもそも国民の理解もしっかりと得られていないこと、世論調査も手法で大きく変わること、子ども達の負の影響等、まだまだ問題・課題があると認識しています。残念ながらこの意見書にはそのような国民の懸念については触れらず、どこかの権威の力を借りている内容です。到底賛成できるものではありませんでした。

 その反対理由については、本会議の討論で説明を行いました。内容は以下の通りです。

 

 


Ⅲ 反対討論について

 

 議会議案第3号として議会へ提出された「選択的夫婦別姓の速やか実施を国に求める意見書」について私は自民党・市民の会を代表して、反対討論を行いました。その内容は以下の通りです。

 

 

〇松本議員

 

 自民党・市民の会を代表して、反対の立場から述べさせて頂きます。

 

 選択的夫婦別姓に関して議論は進めるべきですが、速やかな実施は不適当であるとの姿勢です。この問題に関して、課題が多く指摘されており、その課題を一つ一つクリアにして実施可否の判断を行う必要があると考えます。

 

 二つの事例を紹介します。

 

 一つは、先日、12月18日の衆議院法務委員会で選択的夫婦別姓の質疑がありました。質問者は女性議員で反対の立場からの質疑でした。その内容はYouTube配信されており、一部の新聞でも取り上げられています。

 色々と質疑ありましたが、選択的夫婦別姓への考えを尋ねる世論調査における指摘がありました。それは選択肢の設定で世論が変化していることです。「賛成」「反対」の2択は「賛成」が多くなる一方、「賛成」「反対」「同姓維持+旧姓通称使用」の3択だと現行維持派が多数を占める傾向であるとのことです。そこで紹介された令和3年の内閣府調査では69.2%が夫婦同姓維持という回答です。

 本当に望まれている施策なのか。国民の声を正確に把握するため少なくとも3択での世論調査等をより理解を広めたうえで進める必要があると考えます。

 また、こどもの姓の選択もどうするのか決まっていません。夫婦別姓は必ず父または母で「親子別姓」となり、時には「兄弟別姓」の可能性も否定できません。

 法務大臣は、こどもにとって好ましくない影響を議員に指摘され、その懸念を国民が共有し、きちんとした議論が望まれると答弁しています。

 

 二つ目は、「旧姓の通称使用の法制化」の声も上がってきているということです。婚姻改姓により生じる不便さや不利益さを完全に解消し、旧姓の通称使用拡充を図るというものです。この取り組みが進めば、国民の意見は更に変わることも予想されます。

 

 議論を進める中で、やはり日本においては選択的夫婦別姓は必要でないという結論にも至るかもしれません。そうでないかもしれません。いずれにしても決断を下すに議論は不十分であり、更なる議論が求められます。

 加えて、議論が不十分な現状において、拙速な実施は現状の懸念事項だけでなく、予想されていない課題が顕在化する可能性があり社会を混乱させる恐れがあります。社会の混乱は誰しもが望むものではありません。

 

 以上の理由から、本議会議案には反対が適切であると考えます。

 

(以上)

 

 


Ⅳ まとめ

 

 上写真は、内閣府の「家族の法制に関する世論調査」令和3年12月のものです。

 

 「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」の回答は28.9%にとどまっています。

 

 何をもって「選択的夫婦別姓を速やかに実施せよ」というのか、理解に苦しむというのが率直な感想です。

 

 国民が本当にそれを望んでいるのかも正確に把握されていない。むしろ望んでいない事の方が実態ではないでしょうか?

 

 親子別姓の課題、子ども達への負の影響をどう解決するのかの議論も十分に為されていない。

 

 それを議論して、十二分に吟味した上で、実施を求める、あるいは求めない、ならまだ理解はできます。

 

 

 

 ちゃんと議論すべき。それだけ極めて重要な制度である。そう思うところです。

 

 

 私自身は現状、選択的夫婦別姓には懐疑的です。でも、議論をすることには否定はしません。色々な考えがあることは尊重すべきだからです。議論する中で、こういう素晴らしいメリットがある、というのがあれば理解することはできるでしょう。まだ、それはありません。現行の制度内で課題を解決できるのではないかと思うところです。

 

 

 


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