~ ビジネスの成功、市内経済活動のさらなる発展へ ~
1 ビジネスサポートセンターの設立
2 ふるさと納税返礼品の実現
3 コロナ禍支援・摂津エール飯の普及 など
ヒト・モノ・カネなしに社会は成り立ちません。
これをまちに集めるのが企業であり、産業です。よって産業、企業はまちづくりの骨幹をなすものといえます。
適切な産業政策の実行は、企業に活力を与え、雇用と納税を生み出します。これにより。まちの人口は増え、税収は増え、そしてより豊かな市民サービスへと還元されます。それによって住みたいと思う人が増え、さらにまちは発展していきます。
まちづくりと産業政策は対をなすものです。しっかりと取り組んでいかなければなりません。
Ⅱー1 産業政策の課題と対策について
現在、市は商工会と連携した産業支援策を行っています。市が政策を作り、現場を商工会が担当するような両輪体制となります。
市の政策としては、「セッピイスクラッチ」があります。これは市内企業の経営を支える為に、スクラッチという僅かな資源でより多くの消費を促すもので、地域内経済の循環を促す仕組みとなります。これは税収になって入ったカネの直接的な再分配といえます。
また「摂津優品(せっつすぐれもん)」というブランド認定制度も実施しています。これは商品の認知度を向上させて、売上に貢献するためのマーケティングの支援となります。「創業支援」も行っており、店舗の家賃支援や経営相談を行うものとなっています。
その他にも国や府の支援制度の紹介なども行っています。家賃支援や保証料の補給などコロナ対策支援も行っています。
市政策の課題としては事業承継問題やイノベーション課題への取組みが不十分なことです。(求人はハローワーク)この解決には伴走型相談の経営支援が必要となります。
実際のところ商工会も経営相談を行っていますが、手が回っていないのが現状です。大阪府もよろず支援拠点を作っていますが、大阪市内にあり、なかなか零細企業の経営者がふらっと寄れるところではありません。
よって、零細企業の経営者がふらっと寄れる相談体制、即ち摂津市ビジネスサポートセンターが必要になるのです。
Ⅱー2 ビジネスサポートセンター設立の実現
中小企業は今、海外競争の激化、ビジネスモデルの短期化、人口減少問題、事業承継問題など多くの課題に直面しています。その課題を克服し、中小企業が生き残るためには絶え間ないイノベーション・第二創業が必要です。
しかし、多くの中小企業は第二創業成功へのビジネススキルに不足しているのが現状であり、実際、市内でもイノベーションができない、あるいは実現しても、その後のマーケティングが上手くいかず、売上が伸びないと悩んでいる経営者が多々おられることを私自身が目にしています。
現状の中小企業の取巻く環境を踏まえ、今、本市に伴走型相談支援が必要であると考えています。その内容は下記のものとなります。
私は市に中小企業支援策として摂津市ビジネスサポートセンターの設立を求めていました。
このセンターは大阪府のよろず支援拠点との連携や、創業支援での金融機関の円滑な支援も行い、イノベーションを実現させ、売上をUPさせて事業承継、人材雇用、持続可能な経営に貢献する重要な政策となります。
議会で中小企業支援について、その現状も踏まえて2019年9月議会から議論しています。そして市は、2020年10月議会においてビジネスサポートセンターの必要性を認識していると答弁しました。
そして実現しました。
2021年4月から摂津市の新たなコロナ克服に向けた中小企業支援策・ビジネスサポートセンターが運営されます。予算の関係上、週1回でのスタートとなりますが、実績ある方がセンター長となり、大いに期待されるものです。
2021年7月以降はコロナ対策向上のために週2回となりました。そして2022年4月からは女性相談員が新たに採用されました。
しっかりとその成果を見据え、さらなる発展へと提言して参ります。詳細はブログをご参照ください。
「議事録」
●2021年10月議会「3 コロナ対策での経済活性化について」
●2021年3月議会「ビジネスサポートセンターについて」
●2020年10月議会「産業のまち摂津でのビジネスサポートセンターの必要性について」
●2020年6月議会「アフターコロナでの中小企業支援と相談体制強化について」
●2019年12月議会「中小企業の課題と次の時代に応じた中小企業支援策の必要性について」
●2019年9月議会「本市に活力をもたらす中小企業の活性化について」
ふるさと納税改革を実現しました。
ふるさと納税の返礼品が令和4年度から開始されます。これは2017年から提言してきたことであり、その改革を実現しました。
ただ、ふるさと納税と摂津優品(せっつすぐれもん)の連携であり、返礼品にすることはまだ達成できていません。このことは摂津優品の認知度向上につながり、産業活性化の一助となるからです。本市産業においても特に重要な製造業を支えることは極めて意義ある取り組みとなります。
まだ道半ば、しっかりと議会で取り上げて参ります。2017年12月議会などです。
また、コロナ禍において2020年5月に摂津市に置いて、新型コロナウイルス感染症の影響が様々な分野に及んでいることから、ふるさと納税制度を活用した対策寄付金受付ができました。
「市長におまかせ」を選択していただいた寄附金は、新型コロナウイルス感染症対策として実施する取組に、優先的に活用するもので、自民党・市民の会として市長に提案したものです。
「議事録」
●2021年6月議会「3ふるさと納税制度の改革について」
●2019年12月議会「4 共感を得るふるさと納税の検討状況について」
●2019年9月議会「 5 シティプロモーションとふるさと納税等の施策との連動について」
●2018年12月議会「 1 ふるさと納税を活用した教育支援施策等について」
●2017年12月議会「摂津優品とふるさと納税の連携について」
コロナ禍での経済への影響は本当に多大なものです。
本市の飲食店も含めた様々な業種の中小企業の売上が大幅に減少しています。そのような状況において、経営を支え、企業を存続させることが行政の大きな使命となっています。企業は雇用と納税を生みますが、一度潰れると再起することは難しいものです。今、少しでも支援してこの大嵐を耐え抜いてもらうことが、結果としてコロナ禍が去ったあとの迅速な復活を可能にします。
そこで、様々な融資制度の支援が国を中心として実施されました。本市においても独自の支援策が幾つも打ち出されました。それは以下のものです。
①各種融資制度の紹介
②小規模事業者等激励金
③摂津エール飯
④融資決定時の保証料の全額補給
⑤家賃支援給付金
⑥セッピイ子育て応援商品券 などがあります。
その中で、私は特に「摂津エール飯」について2020年4月中旬の施策構想段階から商工会と市との中で具体化に貢献させて頂きました。他市でも始まっていたエール飯について、本市でも実施すべきと商工会に行き「摂津エール飯」の施策について相談しました。そこで商工会がエール飯の案を既に練っておられたことを把握すると、「出来る限り早く実施すべきで、またこの取組みは商工会青年部に協力を得るのが適切。また市にも協力するよう働きかける。」と提言させて頂きました。
その後、市の担当課に連絡し、商工会の「摂津エール飯」を市としても連携すべきと提言しました。市としては小規模事業者激励金などで担当課が手一杯であり、商工会の取組みにそのまま乗っかるという形で話が進みました。
商工会は4月下旬に「摂津エール飯」を開始しました。当初、市はゴールデンウイーク明けに市HPに「摂津エール飯」の掲載と考えていたので、私はゴールデンウィーク前にHPに掲載して「摂津エール飯」の認知度を上げて、ゴールデンウィーク期間中のテイクアウトを促進すべきと提言しました。そして市は担当者方々の尽力で、4月末に「摂津エール飯」の紹介を掲載しました。
その後は、自身も実践あるべきということで、ほぼ毎昼食はテイクアウトし、SNSに投稿してその普及に取り組みました。まだまだコロナ禍が続く中、引き続き飲食店支援に取り組んで参ります。
その他、コロナ禍での支援策が多々出されるなか、全ての情報を把握できない、必要な支援策が分からないという声を踏まえて、自民党の前田大阪市議が作成された一覧表を参考にした摂津市版の支援策一覧表(下記表)を作成し、FacebookへのUPや印刷して飲食店・事業者に配布させて頂きました。その際、多くの陳情も受け、合わせて対応させて頂きました。
そもそも私は、農学部出身で自衛隊就職であり、経済にはからっきしダメでした。しかしながら関西学院大学の経営戦略研究科というビジネススクールに通うことによって、一定の知識を得ることができ、ようやく地元の経営者や商工会の方々と経済・経営・市の産業政策について議論することができるようになりました。
その関学ビジネススクールで「地域振興」の講義を選択しました。地域における産業政策の考え方の基本となるものです。
そこでの最終レポート「地域内再投資システム」を序論から以下に掲載します。
【地域内再投資システム】
2 序論
地域での過疎化は少子高齢化に伴って今後、ますます加速度化していく。そして地方自治体において税収減による財政危機により行政サービス低下をもたらし、一層の不便さをもたらして、住民が都市部へと移動する負のスパイラルを起こしかねない。そして消滅集落も増え、極点社会へと変わっていく。まさに今、地域が衰退しようとしている。
しかしながら、日本経済において名目GDPは、都市圏(東京・名古屋・関西)を除く地域経済が5割※1を占め、地域の衰退は日本経済の衰退を招き、また伝統文化等の地域の歴史や多様性を維持し続けることは、日本人にとって金銭以上の大切なものであり、地域衰退は阻止すべきものである。そのために、地域振興政策は非常に重要である。
地域振興政策の目的は、地域内再投資を適切に行い、地域経済を活性化することで、地域への企業とそれに伴う雇用による人の回帰を生みだし、持続可能な地域社会を創造することである。本講義において学んだ重要な要素を列挙するとともに、それらの要素を焦点に、地域振興政策について論じていく。
3 講義における地域振興の重要な要素について
3-(1) ヒト・モノ・カネの地産地消
3-(1)-ア 地域概要
地域とは、①ソーシャルキャピタル(社会資本)、②産業集積性、③地域内再投資の3点が重要要素である。なお、ここでのソーシャルキャピタルとは経済主体をつなぐ信頼関係である。
3-(1)-イ ヒトについて
小さい地域ほどに、ヒトの存在が非常に重要になる。このヒトを確保するのが企業の雇用である。しかしながら、地域における企業経営は市場が小さいために難しく、経営者の能力、意志というものが地域振興において大きな要素となる。
3-(1)-ウ モノとカネについて
地域振興における最も大切なものは雇用、即ち働く場所の確保である。そのために、地域全体で様々な施策によって、地域内企業の活躍を支援している。
3-(1)-ウ-(ア) 大企業
大企業は企業全体での割合は0.3%※2にすぎず、数は限定される。しかしながら、1社の力は大きく、その誘致に成功したならば、その地域経済への貢献度は高い。
3-(1)-ウ-(イ) 中小企業
中小企業は地域経済を支える最も大切な要素である。例えば播磨市であれば、事業所平均従業員数9人であり、このような中小企業が地域経済を支えている。
今、少子高齢化において経営者の高齢化と後継者が確保できないことが廃業理由の大きな要因となっている。それらの対応としてM&A方式が挙げられるが、地域での小規模企業には、感情的なところに拠る抵抗があり、必ずしも馴染んでいない。そのような状況において、経済支援組織である商工会青年部等での事業継承と合わせて経営革新への支援が行われる。これらにより中小企業の廃業を減らし、かつ持続的発展と、そして地域振興へとつなげるものである。
3-(1)-ウ-(ウ) 行政について
a 兵庫県の地域創生政策
兵庫県は地域創生戦略を平成27年10月に策定し、地域創生施策を行っている。その焦点は「地域を元気にする。」であり、転出超過の大半を占める若者の社会増対策が大きな課題である。各施策については、産業政策の企業の立地促進、次世代産業の育成、多彩な科学技術の基盤提供、また観光振興でのインバウンド対策、施設整備、そして県の財政を維持するための、即ち行政サービスを維持するための行財政改革が進められている。
b 都道府県と市町村の行政サービス
都道府県と市町村は、それぞれの所掌での地域全体のマネジメントを行っている。特に市町村は、地域に根付いた行政運営を行っており、地域での社会資本の整備は、地域創生に不可欠である。その行政運営において企業の経営基盤を支えるものと、人口流入のための子育て支援や住環境を支えるものがある。
特に重要なのは、兵庫県の地方創生戦略のような地域ビジョンの作成である。様々な利害が絡む私企業ではなく、地域全体を統括してのあるべき姿、ビジョンを創造できるのは行政であり、行政が責任をもってリーダーシップを発揮しなければならない。
c 企業誘致
地域において、地域に大きな雇用をもたらす企業を誘致することは非常に効果的である。そのためには、①情報、②人脈、③誠意が大きな重要要素である。兵庫県においては関西電力等と連携して、スーパーコンピューター京の誘致に成功するなどの実績を挙げている。また企業誘致とともに新しい産業の振興を図ることに留意することが大切である。
d 人材の確保
人口減少は地域の労働力減少に直結し、企業の人材不足や、老々介護など様々な問題が生起している。そのために、海外からの高い技術を有する人材の確保や、また介護支援での国への要望などを行っている。
3-(1)-ウ-(エ) 商工会議所・商工会について(経済支援組織)
地域経済に資する事業活動推進等を行うものである。商工会議所・商工会のいずれも地域総合経済団体で、中小企業支援機関である。特に商工会は地域密着であり、その組織率は6割に達する。
人口減少は地方ほど顕著であり、小規模企業の持続的発展には商工会の役割が重大で、伴走型支援体制を確立している。
3-(1)-ウ-(オ) 金融機関について(経済支援組織)
リレーションシップバンキング・伴走型支援を行う地域の金融機関は、地域での中小企業は持続に不可欠なものである。東日本大震災での気仙沼市における気仙沼信用金庫の活躍はまさにそれを証明するものである。
3-(1)-ウ-(カ) 産業振興・外からのカネの獲得
雇用においては、産業の誘致が産業の活性化の一つとして求められる。今、地域の方向性は「あるもの探し」が主流になっている。地域に根付いたものがあれば、地元雇用の受け皿となる。
それらは、インバウンドのビジネスチャンスを生かすために、世界遺産や日本遺産、映画の聖地巡りを活用し、また既存魅力の再活性化として、温泉の再活性化を図っている。それ以外としては、IR誘致なども挙げられる。
3-(1)-エ 地域創生を支える概念など
3-(1)-エ-(ア) 地域内再投資について
地域内における雇用、納税、消費を、地域金融機関とともに、循環(産地完結型)で、地域創生を行うものである。
3-(1)-エ-(イ) 産学官から産学公連携へ
新しい公共のありかたで、官だけではなく、商工会などの公としての機関と、各種大学との連携により、地域に一層の新しいアイデアをもたらすものである。例えば、インターンシップにおいて事業創造型で、理念型の創造で、学生の柔軟な思考を活用している。様々なイノベーションを行って、地域産業を活性化する試みである。
3-(2) 地域振興を支える見えない要素
3-(2)-ア 地域への愛着
地域振興において最も大切なものは地域愛である。自分の育った町がさびれゆく、無くなるのを良しとしない気持ち・問題意識を起こさせ、そして地域を活性化させようと試みさせるモチベーションの最大の要因である。
地域愛は、地域と人とを結ぶ接着剤のようなもので、その接着力が強ければ強いほど人は地域に寄せ付けられる。
3-(2)-イ 子育て支援による郷土愛の育成
子育て世代が地域に帰ってくるためには、子育ての環境を適切に保持することが必要不可欠である。そして地域に愛着を抱く子どもを育てることによって、高校や大学の入学時に地域を離れたとしても、卒業後において、就職先として地域に戻ってくる。この流れを確保することが地域において非常に重要である。
3-(2)-ウ ワークライフバランス
ワークライフバランスの観点においても、地域の時間がゆっくりと流れるような観念を活用して、企業が実践することが大切である。その働き方が魅力となって、都市部から地域へと人を誘致する。
4 地域振興を進めていくうえで重要な要素
4-(1) 地域を巡る課題
上図は、地域振興と過疎化の関連イメージ図である。都市圏から人口減少地域へと過疎化が進むにつれて、より多くの地域振興政策が必要になる。また放置すれば時間経過とともに過疎化が進んでいく。そのために地域振興政策を行って、過疎化に歯止めをかけなければならない。
今、世の中の変化は激しく、価値観の変化や、国内及び世界的な経済競争、人口減少に伴う地域間競争が激しさを増し、限られたパイでの奪いあいとなって、地域を巡る環境は厳しさを増す一方である。そのような状況において持続可能な地域振興政策が求められているのである。
4-(2) 地域振興を進めるために
これらの課題を解決し地域振興を進めるためには、講義内で挙げられた。ヒト・モノ・カネの地産地消であり、地域内再投資が必要である。特定地域内で経済循環を確立して、地域間競争をできる限り避けることは、様々なリスクを避け、安定かつ持続的な地域経済を可能にする。安定した地域経済が確立すれば、雇用も安定し、人口も安定する。
これを実現するために、先ほど挙げた行政、企業、地域経済支援組織、そして人が重要な要素であることは言うまでもない。ただし、これらの挙げられた要素を理論的に組み合わせた仕組みについてはまだ説明していない。つまり地域内再投資のシステムについて説明することが求められるのである。
例えば、人の地域への愛着が地域経済の苦境に楔を打ち込み、また地域貢献への大きな動機となり、企業や経済支援機関を結びつける接着剤ともなっている。これらの数字にできない定性的なものと、また地域内再投資として、より具体的に数字として挙げることができる定量的なものの仕組みについて重要な要素として取り上げる。
4-(3) 地域振興のシステムについて
4-(3)-ア 地域振興コミュニティ循環(定性的)
上図は、「地域振興コミュニティ循環」と題名をつけたものである。この図は講義で挙げられた主要素の関連性をイメージ化したものである。①人は地域愛を、②企業は利益を、③行政は行政サービスを、それぞれが持つ効果をどのような形で相互関係においてメリットを出しているかを示している。
この関係については、①人の地域愛が②企業と③行政を支え、②企業が①人と③行政を支え、③行政サービスが①人と②企業を支える。特に企業は、地域内の限られた資源を最大限に活用することが必要であり、それぞれの協力なしには、生き残ることが困難である。これが他の協力が無くても自立できる都市部と違う部分である。
また、人(地域愛)をして地域への愛着を作る仕組みとして、企業の雇用・福利厚生と行政サービスがあり、特に行政サービスにおいては、子育て支援や住民密着型のサービスを行って、人をして地域との連帯感を持たせることである。地域愛は勝手につくようなものでは無く、意図して育てていかなければならない。
なお、この地域愛について、山梨県と長野県を比較した興味深い論文がある。2016年において地元進学、地元外進学を合わせた全体の地元就職希望者をみると山梨県28.6%、長野県48.1%となっている。この理由として、「地元の風土が好きだから」でのそれぞれの差で2016年では17.1ポイント、2017年では11.4ポイントの差で長野県が勝り、さらに長野県では愛着度が全国9位、自慢度が7位で、山梨県では愛着度が40位、自慢度が25位となっていることが可能性として挙げられている。※3
4-(3)-イ 地域経済循環(定量的)
上図は、地域内再投資の地域経済循環のイメージ図※4である。この地域経済循環については、地域内のみでは、企業利益を支えきれないため、①基盤産業が、都市部等の地域外からカネを獲得し、それによって、②地域内の非基盤産業で、そのカネを回すものである。これらの仕組みを適切に理解することが重要である。
これをさらに詳細に説明したものが、上図の環境省資料による「水俣市における地域経済循環の概要の図」である。①地域外からのカネ(資金)の獲得、②企業生産、③雇用等の分配、④消費、⑤金融機関等の投資。上図については、地域経済循環分析による課題の抽出 ―水俣市の事例であり、以下の分析結果及び課題が抽出されている(抜粋)。※5
① 地域経済循環を拡大する観点からは、大企業等の地域からの撤退を鑑み、地域資源を活用した産業など、地域に根付いた産業の振興により、域外の資金を獲得していくことが重要。
② 特に地方圏では、風力や地熱、森林などの豊かな再生可能エネルギー資源を有しており、こうした資源を活用して、域外への資金流出を低減することが可能。
③ 全てを地域内でそろえる自給自足型ではなく、「地域資源を活用した地元産品の財・サービスの魅力向上により消費を喚起する」という観点が必要である。
この①~③の課題において、条件によっては対応が厳しい②への課題よりも、①と③の課題に関係する基盤産業を如何に育てるかが重要である。これを担う企業を支えるために、行政、商工会や地域金融機関の支援が必要である。
4-(3)-ウ 地域内再投資システムのビジョンの策定
地域内再投資システムとして認識し、このシステムを適切に実施するには、さきほど挙げた地域振興コミュニティ循環と地域経済循環の要素を如何にして実現させるかという地域全体のビジョンが必要不可欠である。これは行政が主導して行わなければならない。地域としてのビジョンを策定し、ビジョンに基づいてアクションプランをたてる。特に雇用を担う中小企業の育成、支援に重きを置き、地域内再投資のサイクルを作ることが求められる。
4-(4) 重要な要素としてのまとめ
地域振興を進めていくうえで重要な要素として、地域内再投資システムを構成するために必要な、お金では表すことの出来ない定性的な①地域振興コミュニティ循環と、お金で表すことができる定量的な②地域経済循環と、それぞれの循環をシステムとして組み合わせるための③ビジョン策定の3つを挙げた。
単一の要素だけでは、地域振興は困難であり、複数を組み合わせ、一つのシステムとして確立しなければならない。そのために、各循環を理解した上で、全体のビジョンを作り、それに基づいて、地域に合った地域再投資システムを築く必要がある。
5 結 言
地域振興における重要要素とは、単一での人(地域愛)、企業(利益)、行政(行政サービス)、経済支援組織、そして概念と しての地域内再投資などがある。そしてシステムとしての、①地域振興コミュニティ循環と②地域経済循環、③地域内再投資システムのビジョンが挙げられる。
地域振興は簡単にはできず厳しいもので各地域が苦慮している。よってシステムを確立することで、評価し、分析し、修正して、より効率的な地域内再投資システムをスクラップ&ビルドをして、進化させていくことが必要である。なお、そのためには、これらの知識を修得した人材育成が必要であり、より一層の地域振興について学ぶ人材を増やすことを推進していかなければならない。
最後に、地域内再投資システムを確立した地域の仮想未来を説明する。
① 行政が地域の状況を分析し、商工会や金融機関、大学等とも連携して、地域内再投資システムのビジョンを作成し、その実行を推進する。
② 産業集積・地域資源活用(インバウンド)による中核企業を中心として関係する中小企業を基盤産業とし、行政や商工会や地域金融機関の経済支援組織で支援し、それらによって海外あるいは国内の地域外市場からカネを獲得する。
③ カネを地域内にて税収や雇用として再分配し、非基盤産業の中小企業等を活性化させ、一層の雇用の維持・促進を図る。
④ 企業を支えるために行政、商工会、金融機関が連携をとり、また人口減少を補うべく生産性向上のための経営革新を行う。同時に産学公でイノベーションを図り、投資を促す。
⑤ 地域コミュニティ(行政と企業)が連携して人をしっかりと育てていく。特に地域への愛着を抱き、地域のために貢献しようとする人の育成に留意する。
⑥ そして地域内再投資システムを確立させ、地域間競争のリスクを避け、安定した地域経済を確保して、豊かな地域社会を築く。
以上
なお、上記レポート内容を摂津市に当てはめた場合はどうでしょう。
域外からカネを稼ぐ基盤産業となるのが大企業のカネカやダイキン、エネゲート、芦森工業、塩野義製薬などの工場であり、合わせてそれらの子会社があり、また将来的には健都イノベーションパークの企業群も加わります。これら大企業についてはどちらかというと国策レベルのものであり、市としては移転されないよう周辺環境の整備に取り組むことくらいです。(イノベーションパーク企業誘致は市の取組みになります。)
ただし国際競争に晒されている大企業も経営は予断できぬ状況であり、その下請企業もグローバル化という名の海外への工場移転、下請け移転によって、競争に打ち勝てず淘汰される時代となっています。大企業によって守られてきた下請け企業も時代の変化とともに、生き残るための経営革新・イノベーション促進が必要です。
よって市の支援すべき対象は、これまでの非基盤産業だけでなく基盤産業も含めた約4,000事業所の中小企業であり、これらに必要な支援を提供して、活性化させ雇用の維持・促進を図っていかなければなりません。
そして本市の中小企業が持つ課題は、事業承継問題、求人課題、マーケティング課題、イノベーション課題など様々です。これらの克服が求められるのです。
その他、興味がある方は是非、ご参照下さい。
関学ビジネススクール参考資料
(上記内容のものです。)
(中小企業の持続可能な経営を実現するイノベーション等について)
(企業の内部保留が年々増加する日本経済の状況について)
(貧富の格差を加速させるグローバルエコノミーの欠点について)
(グローバルエコノミーにおける日本経済のあるべき姿について)
(人口減少における日本経済の行く末)
7.「公共経営論【あるべき姿】 」
(公共における官、民の役割について)
8.その他
2022.5.6更新